お坊さんの独り言

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悩める人を受け入れて

久しぶりに人を預かり

4日間生活を共にしました。

うつ状態希死念慮、長期間にわたる不眠・・。

勿論、通院も服薬もしているのですが

状況が改善せず、

どこか駆け込み寺でもないですか?

との電話を受けて、

私がお預かりする事にしました。

4日間という期間を設定して

生活改善に取り組みました。

 

毎朝4時半起床から始まり、
規則正しい生活と

菜食を中心とした食事、

仏教の修行として

精神の安定に効果のある
唱題行や手動瞑想も実践してもらいました。

毎日、「死にたい」と口にするので

どんな心境なの?と尋ねると

『降りられない
ジェットコースターに
ずっと乗っている感覚』

だそうです。

当事者外でも分かりやすい

的を得た言葉に、妙に関心しながら

それは精神が落ち着かなくて辛いだろうな、

と気の毒になりました。


毎日、辛い気持ちを傾聴しながらも
私一人では問題解決にならないので

事前に行政支援センターへ出向いて

知人の職員の方に相談したり、
信頼のおける知人の方々が開催してくれた

茶話会に連れ出して、一日じっくり対応して頂いたり
周りのお力添えを頂きながら

改善に向かいました。

 

辛いばかりの毎日でも

温泉はリラックスできるというので

連れ出して、ゆっくり入浴してもらうと

血のめぐりが脳にも?好影響を与えたのか

気分も上向きに饒舌になりました。

その夜はリハビリをかねて
2年ぶりだという買い出しに

一人で行ってもらい、晩御飯も全部一人で

作ってもらいました。

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二年ぶりとは思えないほど

手馴れて美味しかったです!


何より効果的だったのは
調理で頭と気を遣ったお陰で
その夜は朝までグッスリ、
久しぶりに5時間眠れたそうです!

気を良くして

翌朝のご飯も一人で作ってもらいました。

こうした現実の生活を営みながら

少しづつ自信をつけていくことが

改善の近道だと思います。

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こうして途中で逃げ出す事もなく、
4日間励み、帰宅しました。
ここでの生活習慣を
どこまで継続出来るか?
これからが本番です。

ですが、
先ずは一歩踏み出せた事に拍手!
笑顔で送り出しました。

私自身も実に多くのことを

学ばせて頂いた4日間でした。

 

心の病が増えています。

誰が罹患してもおかしくない現代です。

病院をはじめ、あらゆる機関が連携して

当事者のケアに当たることがベストですが

先ずは身近な人々が、寄り添って聞いてあげることが

大切だと思います。

 

そして、坊さんのはしくれとして一言。

全国のお寺さん、門を広く開いて

悩める方々を受け入れて下さい。

泊めることは出来なくても、

お茶を入れて悩みを

聞いてあげる事ぐらいはできるはずです。

どうか、お寺本来の役目を果たしてください。

全国にはコンビニなみに多くの寺が存在しているのです。

すべての寺が、悩み相談所として

気楽に立ち寄れたら、心を病む人はひとときでも

助かり、自殺を思いとどまる事が

できるかもしれません。

私のように立派な寺が無く

知恵も力も無い者でも

出来るのです。

お寺さん達、動き出してください。

 

どうか、悩める人々が一日でも早く

苦しみから解放されますように。