お坊さんの独り言

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伝統がもたらす影響

男はつらいよ」の山田洋次監督が

  富山県で講演会をおこなった時のお話。
 講演後、もう一回お願いしたいと

 主催者から頼まれたそうです。しかも

 翌朝7時からお願いしたい、との事。

そんな早朝に人が集まるんだろうかと問うと

「富山の人は勤勉ですから、朝早く起きるんです」との事。


 翌朝行ってみたら、広い会場に

沢山の参加者が集まっていたそうです。
富山には長い伝統があって、

夏の朝早くお寺に集まり

お坊さんの法話を聞くという事が
昔から行われているそうです。

 

夏は農作業にそんなに手のかからない時期だし、
朝早くまだ涼しい時間に早起きして、

村や町の人たちがお寺のひんやりした本堂に集まって、

お坊さんのお話を聞き、お祈りをする。

あるいは、うちわを扇ぎながら

皆でよもやま話をする。

そんな話を終える頃に、やがて暑い朝になってきて、

セミしぐれの中、皆が三々五々自分の家に戻っていく。


今から40年以上前のお話ですが、

こういう暮らしの中で、人はいかによく生きるか、
そして、いかに平穏に死を迎えるかというような事を、

昔の日本人は日常まじめに考えていたんだなと感じました。