お坊さんの独り言

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ウルトラマンタロウによせて

幼少期、夢中になった特撮番組、「ウルトラマンタロウ」を
レンタルDVDで懐かしく観ています。

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そういえば、ウルトラマンの造形は仏像をモチーフにしていますよね?
法隆寺弥勒仏の口元、アルカイックスマイルを真似ているとか、
眉間の白毫を取り入れてるとか。

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長くなるので、この話はまた別の機会にしますが。

 

ウルトラマンタロウ」、昭和48年に製作された子供番組ですが
当時の社会風景とか生活様式、ファッションなどが垣間見れて
ワクワクしながら魅入ってしまいます。

何より、子供向けながら家族愛とか友情、社会正義、

人間として大切な道徳規範をしっかり織り込んでいて、

製作スタッフの意気込みが感じられる番組です。


子供たちに楽しい夢を与えるだけでなく、

人として正しく成長して欲しいという
「真っ当な大人たち」の良心が番組全体にあふれているのです。
だからこそ、40年以上経った今観ても、色褪せないのでしょう。
こんな思い出の番組が、今はネット動画やレンタルDVDで
簡単に視聴できる、便利で恵まれた時代ですね。

 

しかし、昨日、そのネットの誹謗中傷で

22歳の女子レスラーが命を絶つという

痛ましいニュースがありました。
ウィルスによって多くの命が失われていく中、
人間に傷つき、自ら命を失っていく方々が
今、この瞬間にも存在するという異常事態。

出演番組に関する誹謗中傷らしいですが、
普段テレビを観ない私でも、日本のテレビ番組の

劣化は著しいと感じています。
これは人間自体の劣化によるものです。

世界中が劣化してるのかもしれませんが、

先ずは身近な私たち日本人の精神の劣化が
いたるところで本当にひどい。

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このブログを暫く更新しなかったのは、
以前書いた通り、コロナによって変るべきは
私たちの精神のありように尽きると感じているからです。


2500年前のお釈迦様が説いた

「現象は心が作り出す」とのお言葉は至言であり、

この根本を立て直さない限り、医療も経済も
本当の意味で改善されないと思うのです。

 

ショックドクトリンというのでしょうか、
コロナ騒動にかこつけて、政府の強引な定年延長論議の挙句、
ご本人がマージャン賭博で辞任、社会の指導的立場の者が
この有様です。劣化極まれり、と断罪するしかありません。

 

ウルトラマンタロウ」の昭和時代が

今より良い時代だったのか、
評価や捉え方は様々でしょう。
けれど、テレビ番組一つをとっても

誠意と愛情を感じられる時代でした。

一言でいえば、人としてやって良い事、悪い事が
社会規範として存在していた。

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今は「グローバル化、多様な価値観」などと、

口当たりの良いご都合主義、

経済第一主義ばかりが先行して、
誠実さや、優しさ、社会モラルが

崩壊していると
危機感を感じざるを得ません。

 

誰かが社会を変えるのではなく、

自分自身が一人の地球市民として、

真っ当な意識に立ち返る
必要性を強く感じる次第です。

 

ウルトラマンタロウ」こと東光太郎は最終回、
変身バッチを海に捨て、

一人の人間として生きることを選ぶのです。

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光太郎を通して、

誠心誠意生きる、

自分の道を真っ当に生きていく姿を
多くの子供達は学びました。


昭和時代の先哲に恥じない生き方を、
私たち一人ひとりがしていかないと、
「怪獣」という名の「人間の闇」に

滅ぼされてしまうのでは
ないでしょうか?

 

知人の方が「昔に進もう!」と仰っています。

そうです、「戻ろう」ではなく

ちょっと昔の、良き生き方に「進んで」こそ、

人間の進化があるのではないでしょうか?

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