お坊さんの独り言

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物で栄えて、心で滅ぶ日本人

今回、感じた苦言を呈します。

 

トレッキングやトレイルラン人口が

増えてきて、七面山でも

数多く見かけるようになりました。

かの人達は「信仰」で

登る訳ではないようです。

 

道中には、いくつかの休憩所(お寺)があり、

そこで身体を休ませたり、

トイレを借りる事はあっても

本堂に手も合わせず、

お賽銭箱に喜捨しない方々が

幾人もおりました。

 

「私たちは信仰で登ってる訳じゃないよ」、

と、言わんばかりの姿に

「何を勘違いしているんだろう」

と思いました。

 

七面山の入り口には

鳥居と石塔があり、

お線香立てやお供え場もあって

霊山という場所であることは

初登山の者でも分かるはずなのです。

 

にも拘わらず

手を合わせるどころか

鳥居に頭も下げず、

腕のストップウオッチに目をやり

嬉々としてスタートダッシュしていく

中年の男女がおりました。

スタイリッシュなランニング装備をして

知的・経済的レベルも高そうな

お二人の姿を眺めながら

人としての浅ましさを

感じてしまいました。

 

我々が安全に山道を登れるのは

日夜、舗装作業や各所のメンテナンスに

莫大なお金と人力を尽くして下さっている

お陰なのです。

 

頭デッカチ・経済至上主義で

礼儀や感謝を知らない人間の

娯楽と健康のために

御山があるんじゃない!

と七面様に代わって訴えたい。



余談ですが、

ある教育者が仰っていました。

「日本は人間性で持っている国です。

 素晴らしい人間性を持つ民族だから

 戦争や大災害でどん底に落ちても

 復活することができた。」

 

その素晴らしい人間性

抜け落ちている日本人を

信仰の山で見かけました。

我が振りなおせ、で自省しつつ

良識あるお参りの基礎から

伝えていかねば、と

改めて思った次第です。