お坊さんの独り言

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一年の締めくくり・蠟八接心お断食唱題修行

12月8日は真珠湾攻撃の日、

ジョンレノンの命日、

そして何よりお釈迦様が悟りを開かれた

聖日でもあります。

日本山妙法寺では1日~8日まで

断食断水でお題目を唱え続ける

接心というご修行が毎年勤められます。

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私も10年以上、このご修行に

参加させて頂いており

今年も気持ちを引き締めて

行って参りました。

東京都青梅市の小高い茶畑にある

妙法寺青梅道場です。

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80歳になられる牧野御上人様と

二人で勤めました。

早朝5時から夜の7時近くまで

毎日13時間半ほど、

南無妙法蓮華経と太鼓を叩いて

唱え続けます。

1日~3日までは断食、水も飲みません。

空腹よりも水分を摂らずに大声を

出し続けるので、非常に苦しい3日間です。

4日目の朝に初めて水が飲めます。

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ゴクゴクと

胃に落ちていく音が聞こえます。

文字通り、五臓六腑にしみわたる感覚です。

毎回、この瞬間がたまりません。

この後、梅干しを溶かした梅湯を

どんぶり10杯飲んで、一気に腸内洗浄をします。

びろうな話ですが、水のごとく下すのです。

この胃腸を洗い出すまでは

気が抜けません。

熱い梅湯のお陰で

全身にびっしょり汗が噴き出ます。

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下し終わったら、

生野菜や少々の菓子を食べて

この日は休憩となります。

胃腸が敏感になってるので

お昼ご飯は、蒸かし芋や湯豆腐、

リンゴにミルクティなどを頂きます。

この粗食がなんと美味しいことか!

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そして、翌日からまた断食断水で

お題目のご修行、7日目に又同じ

洗い流しを行います。

 

なんとも長い一週間ですが

合間に牧野御上人様が仰る

仏教のお話、お題目信仰のお話、

人生のお話などが、とても学びになる

一週間でもあります。

 

御上人様は事故で

片足を失われているのですが

怠けることなく妥協することなく、

義足をつけて懸命に

ご修行に励まれています。

その姿勢は、どんな高僧の名説法よりも

格段に尊い、生きた仏弟子

法華経行者の姿です。

そこに私どものような

未熟者が励まされ、謦咳に触れたいと

感じるのです。

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満行を迎えた8日目の朝、

記念写真を撮りました。

三回、ご本尊に礼拝しながら

謙遜でなく本心から

こう思いました。

疲労に負け、大きな声も出ず

 形ばかりのご修行だった。

 我は袈裟をまとったニセモノ坊主、

 ただの凡人に過ぎない。」

 

修行は重ねるほどに、

謙虚にならざるを得ません。

己の至らなさを自覚しながらも

接心を終えられた事に感謝して

山を下りました。

 

肉体と感覚の虚脱感を

少しの間、楽しみながら

日常に戻っていきます。