お坊さんの独り言

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祈りとは魂の叫び

青梅道場から牧野上人様が

1泊2日で久遠道場に来山、

年末のご廟所にて一緒に

唱題修行を勤めました。

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牧野上人様のお題目は

独特の音色があります、

時には叫びのようにも聞こえます。

 

「唱えるんじゃない、

 叫ぶんだ!

 仏さま、

 このどうしようもない俺を

 助けてくれ、救ってくれ!と叫ぶ

 魂の声なんだ」

 

 そう仰います。

 うん、だから心に響くんだと思います。

 

 

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 牧野上人様は

 右足がありません。

 義足に支えられながら

 ご修行に励むご出家です。

 その生き様から発せられる

 言葉の一つ一つに、

 いつも心を打たれ、

 自分のこざかしさを恥じ、

 信仰の糧を沢山いただきます。

 

 夜は友人の住職夫妻をお招きし、

 牧野上人様を囲んで

 ささやかながら忘年会となりました。

 友人が持参したCDアルバム、

 友川かずきの歌に「南無妙法蓮華経」という

 タイトルの曲があることを知りました。

 聴いたら、友川さんの「南無妙法蓮華経」が

 また凄かった。心をえぐられるようなお題目でした。

 友川かずきの魂が叫んでいました。

 

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翌日は富士宮市にある本照寺に参拝。

ここには「熱原法難」で殉教された

農民のお墓があります。

日蓮聖人の晩年に、この地で

お題目信仰に励んでいた

3人の農民信者が時の権力者によって

いわれなき罪をかぶせられ、

処刑された大事件の場所です。

 

ちなみに、農民たちと共に

布教に励んでおられた日弁上人という

お弟子さんも晩年、東北の宮城県にて

念仏信者らに襲われ殉教しています。

御年76歳という鎌倉時代では

高齢の身で、殉教されているのです。

そのお墓は妙法庵がある

茨城県高萩市にあります。

 

不自由なお体で、

この一年間、何度もご廟所へ

お参りに来られた牧野上人様。

今年の締めくくりにお題目を叫び、

お題目に命を捧げられた先師を偲んだ、

有難い2日間でした。

 

 

 

 

 

大自然の恵み

御修行が終わって、

高萩市・妙法庵へ戻り年末の諸準備。

供え餅を蒸かす薪割りをしたり、

大掃除や農作業などに汗を流しました。

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茨城が北限といわれるミカン。

今年は例年以上に

甘く実りました。

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柿は外れ年なので、

干し柿も乏しいすだれ模様です。

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母が小ぶりの紅はるかで

茨城名産・干し芋をこしらえていました。

竈で蒸すこと3時間、

じっくり時間をかけることで

ねっとりとした甘さが出てくるそうです。

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すべては大自然の恵みです。

太陽と土と水があれば、

どこにいても生きることができます。

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農的生活をされている方が

おっしゃっていました。

天候不良の影響で

来年は小麦の値段が上がるかもしれない。

代用として米粉パンのニーズが増えるかもしれない。

日本人は米食が命だから、

これからの時代、やはり「米」を生産する必要性は

ますます重要になってくるだろう、と。

食料自給は、誰もが取り組むべき

喫緊の課題でしょう。

 

大地に足をつけて

汗を流す生活は、

精神性や思考態度をも

健全化してくれます。

都会であっても、道路の道草に

視線を落としてみれば、

その可憐さや生命力に

心が洗われると思います。

 

大自然そのものが大曼荼羅ご本尊。

お題目が自然と口からこぼれる

恩恵の日々でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

臘八接心・お断食唱題修行

12月8日はお釈迦様が

悟りを開いた聖日だそうです。

そのご修行に倣い、

1日から8日までお断食をしながら

お題目を唱え続けるご修行に

行って参りました。

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東京都青梅市里山にある妙法寺

ご住職の牧野上人様とは

十数年のお付き合いです。

千葉の清澄道場や、南インドの道場でも

お断食を経験しましたが、

近年は牧野上人様のお寺で

お断食修行をさせて頂いております。

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朝5時から夕方6時半まで

休憩なしで、ひたすら太鼓を叩き

お題目を唱え続けます。

今年は一日半、

ご信者の女性も参加されました。

お帰りの後は、二人きりの

ご修行となりました。

 

3日までは水分も抜いた

お断食なので、肉体には

かなり堪えます。

胃液がこみ上げてくることもあり、

牧野上人様は洗面器に吐きながら

ご修行を続けておられました。

お断食に弱い私も

毎回、ヘロヘロです。

 

そして、4日目。

やっと水が飲めます。

水を口にした瞬間と

水分が五臓六腑に

染み渡っていく感覚は

毎回、感動ものです。

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水を頂いた後は、

熱い梅湯を10杯ほど

飲み干します。

こうして胃腸を刺激すると

冷え込んだ皮膚から

一気に汗が吹き出し

下剤をかけたようにお腹が

下ります。

 

びろうな話ですが、

黒いタールのような宿便が

排出されて、胃腸が洗浄されるのです。

この浄化作業?が終わるまでは

気が抜けません。

 

でも、出し切ると

本当にスッキリします。

皮膚も艶を増して

細胞全体が

生まれ変わる感覚です。

 

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その後は、生野菜などを頂いて小休止、

5,6日と再びお断食をして

7日に同じ洗浄作業を行います。

体重は2キロ減りました。

 

そして、今年も無事に8日の朝を迎えました。

お釈迦様のお悟りを祝う

成道会をお勤めし、

小豆粥を頂戴しました。

一足早い、新年のお祝いです。

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牧野上人様と私は親子ほどの年齢です。

写真では分からないですが、

牧野上人様は片足が義足なのです。

 

不自由な御体に加え、

体力が落ちている中でも、

怠ることなくご修行を勤める

後ろ姿は、雄弁な説法にも勝る

現身説法です。

 

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お寺の前に広がる

茶畑と奥多摩の丘陵です。

 

お断食明けには、

何を見ても新鮮で美しい。

風景や人々が、その姿をもって

教えを示してくれているような

尊い感覚にさえなります。

 

そして、何を食べても美味しい!

胃腸が非常にデリケートになっているので

私の場合、一週間ほどは蕎麦などの

油を控えた食事になります。

お断食は復食を失敗すると

健康を損ねるので、自己流は禁物です。

 

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今回もご一緒にお題目を唱え、

様々な御教示を頂き、対話を重ね

様々な学びがありました。

 

臘八接心は、

一年の総決算でもあり、

来る新年への心構えでもあります。

お釈迦様・日蓮聖人様のご加護や

ご縁のある方々からの

差し入れに支えられて

お勤めさせて頂けたこと

心から感謝しております。

 

この8日間を

ご縁ある皆さんに

形を変えて還元して参ります。

 

その前に、

今しばらくは

食べ過ぎないよう

ブレーキをかけないと!ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんぐりのお料理

秋の摘み草実践コース中級編、

甲州市の「つちころび」さんで

座学と調理の一日でした。

 

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参加者が拾い集めた

どんぐりの数々。

 

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手作りの石器で実を割ります。

これが結構な手間で、昔の人が

食材を口にするまでのご苦労が

しのばれます。

 

私が拾ったクヌギの実はえぐくて

調理には使いませんでしたが、

椎の実やマテバシイ

生で食べても美味しかった!

ドングリを食べたのは、初めての経験です。

朝鮮五葉松の実も初めて食べましたが

いかにも滋養がありそうな味でした。

 

舞子先生のレクチャーの後は

早速、調理開始。

 

そして、女性陣による

摘み草も添えた盛り付け。

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どんぐりの木の実おこわ

どんぐり豆腐トドリムック

アケビ入りラープ風おかずそぼろ

どんぐり味噌田楽

栃の実ぜんざい

栃の葉茶

かや飴

 

どれも絶品!

知らなければピーナッツと間違うほど。

歯ごたえも風味も感動ものでした。

 

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かやの実を混ぜて板状にした

山梨の郷土食。

山梨のみで製造販売されているそうです。

かやの木の多くは早川町に生育し、

七面山参道にもあったように思います。

かやの実は、虫下しに効能ありとか。

 

栃の実は成るまでに30年以上かかる

貴重な木の実だそうです。

京都府・綾部の山村に暮らす

お年寄り達が丹精込めて作った

栃の実のお餅をぜんざいで

デザートに頂きました。

 

大自然の恩恵にあずかる

目から鱗の摘み草講座。

初級編から募集していますので

ご興味ある方は、お問い合わせをどうぞ!

楽しくて美味して、

「食」の足元を見つめなおせますよ~。

 

 

 

 

大月市の岩殿山

奥の院思親閣、七面山に続いて

今日は岩殿山に登って参りました。

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戦国時代、甲斐の郡内地方を治めた小山田氏の居城跡です。

元々は9世紀頃に栄えた天台修験の霊場だけあって

切り立つ絶壁の岩山は厳かな雰囲気を漂わせています。

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大月駅から徒歩で一時間ほど山頂へ。

日帰り登山には、ちょうどいい距離なので

家族連れなどで賑わっていました。

 

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山頂から望む富士山、絶景です!

これで下山なら負担は少ないのですが、

西の稜線を更に登っていくと

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岩場に鎖がいくつもあって、

スリリングな岩壁登りが体験できます。

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写真手前の岩肌から先は

直滑降の絶壁で、足がすくみました。

滑って落ちたら・・終わりです。

クリフハンガー」か!と

突っ込みたくなる岩壁です。

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ここは通称「稚児落とし」と呼ばれる難所。

小山田氏の側室が敵陣から逃亡の際、

赤子が泣き出した為、家来が赤子を投げ落とした

悲しい伝説が残る場所なのです。

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こんな高所から想像しただけで

ぞっとします。

戦さは本当に酷いものです。

供養を込めて、歩きながら

お経やお題目を唱えました。

 

余談ですが、岩殿山は天台系修験ですから

回峰行者のように不動真言を唱えて

歩いていたのかもしれません。

試しに、不動真言を唱えながら

歩いてみました。

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「のうまく・さんまんだーばーざらだん

・せんだん・まーかろしゃーだーそわたや

・うんたら・たーかんまん」

唱えてみたら、

アップダウンが激しい山道を

駆け歩く(走る)のに、

このリズムがとても合うのです。

お題目の「なむみょうほうれんげきょう~」は、

平地での行進に適してると感じます。

天台真言修験系を「山の宗教」、

日蓮法華系を「町の宗教」と俗称する

もう一つの意味を体感しました。

 

今日は、私とご縁のあった大切な方が

新天地へ飛び立つ日でもありました。

陰ながら旅路の無事と

新天地での更なる活躍を祈り、

山頂より掌を合わせました。

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ひょっとしたら、岩殿山の下を走る

中央高速道路をバスに揺られながら

移動していたのかもしれません。

お互いの行動に気づかないだけで、

人生は「人間交差点」だから

そんなこともあるかも、と

岩山を登り続けました。

 

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昨夜は満月、そして新嘗祭

日本そして世界が

美しく調和のとれた

毎日でありますように。

 

 

 

11月・久遠道場修行会

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1泊2日の修行体験会、

今月は神奈川県より一名参加、

マンツーマンでご修行に励みました。

感想を掲載させて頂きます。

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一泊二日の修行体験、忙しい日常から離れて

空気の澄んだ自然いっぱいの道場で

寝起きするだけでデトックスになりました。

全ての修行が物珍しくて興味深々でしたが、

そうだ、これは修行なんだった!と

我に返る厳しさも経験できました。

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二日間で何回お題目を唱えたかわかりませんが、

唱えている間、題目に集中することで

瞑想のように、雑念にとらわれずに

いられた気がします。

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修行の合間に、

法拳さんが用意してくださる優しい食事、

お勤めした後のお下がり(仏様からいただくおやつ?)、

地元密着型の気持ちのいい温泉、

早起きして見た、たくさんの星、

山登りの後の奥の院からの景色など、

ホッコリしたりスッキリしたり

暖かい気持ちになることも

たくさんありました。

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なによりも、お坊さん(法拳さん)に

ずっと付いて教えてもらいながら、

お寺参拝やヨガや

身延山登山などができるのは、

またとない貴重な経験でした。

日常に戻っても、

早寝早起きぐらいから取り入れて、

穏やかな毎日を過ごせるように

なりたいなーと思います。