お坊さんの独り言

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いのちを食べる行い

妙法庵は平成17年にできた

新しいお寺です。

もともとは兼業農家でした。

私が中学生の頃まで

一頭の牛を飼っていました。

乳牛でなく、精肉として売る肉牛です。

昔は農家が家計の助けに

牛を飼う事は一般的でした。

 

子供ができると、母牛は売りに出されます。

私も餌やりなどを手伝っていましたが

出荷は日中なので、学校から帰ると

母牛が居なくなっているのが常でした。

 

親が言うには、迎えのトラックが来ると

察知して母牛は荷台に乗りたがらないそうです。

そして、大粒の涙を流すのだとか。

我が家の生計を助けてくれた

貴重な牛でしたが、やりきれなくて

飼育を辞めました。

 

そういえば、

私が子供のころ、

昭和50年代までは

田舎の各地では

家の軒先に毛をはがれた

ウサギの肉がぶら下がっていたり、

豚の屠殺場が通りから

見える場所があったり

そんな光景が当たり前にありました。

 

そんな実体験があるからこそ、

上記の記事を多くの皆さんに

読んでもらいたいと思い、

シェアさせて頂きました。

 

命の尊さ、は

どんなに言葉を尽くしても

分からないと思います。

「なぜ、人を殺してはいけないのですか?」

と質問する人間に、丁寧な説明や

哲学的な教えを授けても

時間の無駄だと思ってしまいます。

生き物を飼育する、草花を育ててみる、

そこで命の生き死にを

実体験させた方が

よほど理解が早い。

 

現代は、なにごとも綺麗ごとで

済まそうという風潮が多すぎます。

宗教やお寺の在り方、

僧侶の発言を聞いていても

非常にはがゆいことが多い。

汗水垂らした実体験が少なすぎるのです。

 

牛肉に限らず、

命をいただくとは

どういう事か。

 

我々が自らの手を汚さずに

綺麗な食材として頂く前に

どれだけの方々が

大変な作業と、いわれなき蔑視の中で

重労働をされているのか。

 

知るのではなく、

感じていただきたいと願います。