甲州市にある
「こぴっと畑」で草刈りの
お手伝いをしてきました。
「こぴっと」は甲州弁で「しっかり」「ちゃんと」
を意味します。
野草講座でお世話になっている
鶴岡さんが耕作放棄地を
「こぴっと」整備して
「こぴっと」野草や生き物たちの環境を
調えているビオトープです。
猛暑と長雨で伸び放題になった畑。
刈り払い機で、ひたすら刈りまくります。
畑には様々な植物たちが生育しています。
けれど、これが素人には分かりません、
鶴岡さんに教えていただきながら
植生を学んでいきます。
これは小豆の原種。
一般的な小豆より小さいですが、
逞しく野草と共生しています。
セイダカアワダチソウ、
名の通り私の背丈を超えています。
花粉症のイメージがありますが、
まったくの汚名で、花粉自体は
虫が運ぶので空気中に飛散しません。
昔のインディアンは葉を
喉や歯の痛みに使っていたそうです。
とあるタイミングで採取し、
水洗いして干してから入浴剤として
使用します。
とても爽やかな香りがします。
こうして調えると、雑草が立派な商品になります!
エノコログサ、通称「猫じゃらし」。
これを鶴岡さんは、「ふりかけ」に加工して
人気商品としています。
これが食べられるなんて!
垂直より、しだれた穂が良いのだとか。
食感や採取時期など、すべて経験で
培った智慧だそうです。
草刈りと並行して、たくさん採取しました。
摘み草は手袋をせず、文字通りに
手で摘んだほうが手折る箇所や、
どの穂が良いかなど感覚で分かってきます。
目が慣れてくると、探している植物の方から
「ここにいるよ」と言わんばかりに
すぐ見つけられるので面白いですよ。
午前中から始めた草刈りは、
夕方になっても終わらず、
日が暮れてからは
室内で採取した野草の選定作業などを
お手伝いしました。
農作業と同じで、
自然相手のお仕事は、
これで終わりという区切りがありません。
けれど、地に足をつけて暮らす意味が
ダイレクトに実感できるお仕事でもあり、
鶴岡さんとも語り合ったのですが
摘み草は、一つの生き方だと思うのです。
そこに私も共鳴しているので
こうしてお手伝いさせて頂いてます。
これから地球規模で
食糧難の時代がやってくる
かもしれません。
野草は救荒植物の役目も担っており、
食料に対する自立した認識と智慧を
持つことが大切です。
そして、もっと大切なのは
調理法や薬効を知ることより
地球に生きるということ、
我が命と他の命を尊ぶこと、共生の意味を
自らに問うて生きていくことだと
感じるのです。
それを野草たちは、声なき声と
自然な姿で教えてくれていると思います。
気取った言い方をすれば、
坊さんも一つの「生き方」だと
私は思うし、宗教とは
本来そういうものだろうと思うのです。
教義を知っていても、
何らかの修行を達成したといっても
人間性が壊れている坊さんはいます。
私も欠けている箇所が沢山ある
未熟な坊さんですが、
こうして野に立って汗を流すことで
心身から余分なモノが放電して
宗教の本質が感じ取れるような
爽やかな気持ちになれるのです。
標高500m、
甲州の爽やかな秋風が
吹き抜けていく野良仕事でした。