お坊さんの独り言

活動詳細はHP「妙法庵」で検索ください

信仰をもって逝くこと

ご縁のあった方が亡くなりました。
道場へお参り下さったり、
他所でお茶会をご一緒したり
数回の出会いでしたが、
私にとって

忘れられない信仰の篤い方でした。


読経や法話後のお茶会で

目に涙を浮かべながら
「こういう場が本当に嬉しいね」と
周りの方々に優しさを振りまく
お方でした。

 

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過日、奥様やご友人、そして
息子さん方が身延山に参詣に来られ、
ご廟所参りにご一緒させて頂きました。


息子さん2人は、

かつて父と登った七面山に
供養の登詣をされ、

下山するまでの間、
道場にて奥様やご友人と

お茶会をしました。

 

闘病中に記された

数枚のメモ書きを
コピーして頂戴しました。

ご自身が病の中から
感得された魂の設計図、
生死を越えた真理の世界観は
頭で考えたものではない、
生死と向き合う者にしか

体得できない
数々が記されてありました。

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深夜、黄昏時、
ある時は点滴の合間に
書き残したその一部を
ご紹介させて頂きます。


 「病気をしたことによって
  仏心が動き出す感じがする。
  体の成り立ちは、輪廻転生と、
  神の子・仏の子の部分と
  先祖から流れるDNAによるものと、
  両親の愛とにより形作られると思う。
 
  だから、その瞬間に仏心は存在する訳だ。
  ただ、仏心の育つ環境は本人の努力もあるが、
  両親の善行によるものがあると思う。
  そのスタートは、一滴の水、一粒の米、
  それが体あるいは魂を潤し、そして成長させる。」
 
   「輪廻とは、
  宇宙を旅することと思う。
  宇宙を旅している間に、
  いろいろな仏に出会い
  祝福されたり、
  教えを受けたりする、
  最高の空間の状態と考えられる。」
 
 「死とは、人間として最も楽な状態。
  苦から解き放たれた
  無の状態と言えると思う。
  純真無垢の状態とも言える。」

 

 「社会に貢献できる体になるには
  自身の回復力と精神力、そして
  仏心のご加護にあると思います。
 
  そして家族・大勢の皆様からの
  エールに対して
  南無妙法蓮華経と申し上げたいです。
 
  健康でいる毎日でも、
  何か作業している時でも
  遊んでいる時も、
  お題目はありがたいお守りです。」

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 ご自分のお父様の遺訓にも
 触れています。

 「人は、世の中全てのものに感謝し、
  恩返しをすること。
  恩返しをするのに
  金銭物品ではなく、
  業によって恩を受けているので、
  各自の業で感謝の気持ちを
  プラスして恩返しする。
 
  一般社会にも家庭においても、
  人の喜びを自分の喜びとするまで
  精進する。」

 

 病床を見舞う

 信仰仲間のご友人と
 ご自身の宗教観について
 一つ一つ確認するように対話を続け、
 心安らかなひと時を

 過ごされたとお聞きしました。
 

 そして、命の間際には
 ご家族や主治医の方々に
 深々と御礼を述べられたそうです。
 

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 信仰があって良かった。
 お題目に出会い、

 そのご縁でつながった

 心から信頼できる人々と
 出会えて良かった。
 

 その想いは、

 ご自身もご家族ご友人も
 同じことと思います。
 私も、その尊いご縁に触れられて
 心から感謝しております。

建築家・安藤忠雄展『挑戦』

独学で建築を学び、

日本のみならず世界中に

斬新な建築作品を送り出す

安藤氏のエネルギーは多くの人を

魅了します。

東京大学での講演録、

『連戦連敗』(タイトルが挑戦的です!)

を読んで以来、惹きつけられる先駆者です。

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建築は暮らしの基礎、

それを物語るように美術館は

多くの人出で賑わっていました。

 

安藤氏の代表作といえば「光の教会」。

打ちっぱなしのコンクリを

十字に開き、自然光の十字架が現出する

シンプルかつ神聖な教会です。

今回、原寸大で野外展示場に再現されました。

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光は神々しい。

ただ、それだけでサンクチュアリです。

安藤氏は斬新なお寺も設計されていますが、

今回、こんな大仏さんを初めて知りました。

これは、現地で見てみたいものです!

飽くなき挑戦、

これが稀代の建築家と呼ばれる

所以ですね。

 

国立新美術館へは、

地下鉄・乃木坂駅下車で

会場直結です。

生きるエネルギーが

下がっている方へ

おススメします!

 

 

アド街ック天国・高萩編

www.tv-tokyo.co.jp

テレビ東京の回し者ではないですが・・・

妙法庵がある茨城県高萩市

1時間番組で取り上げられます。

私の生まれ育った故郷でもあります。

 

連ドラ「ひよっこ」の舞台効果でしょうか、

北関東の田舎街・高萩の名を

あちこちで目にします。

上野駅から特急で2時間、

東北方面の玄関口です。

 

4日、今夜9時から放送です。

ご覧になって興味をもたれたら

紅葉の高萩に

ぜひお越しになってみてください。

 

 

お師匠さまの来訪

「道」と名がつくものには
必ず師匠が必要です。
師匠に弟子入りして、

起居振る舞いを
真似ながら道を学んでいき、
基礎をつくりあげます。

 

仏道修行のお師匠さまが
身延の道場に立ち寄って下さいました。
師のお寺から独立して以後、
今では年に数回しかお会いしないので
久しぶりに膝を交えて歓談できました。


読経をする師の後ろ姿を見ていると
重ねてきた齢を感じ、なんともいえない
感慨をもちます。

 

小僧時代、そして独立してからも

師匠には色々とご面倒をおかけしました。

今日、私が僧侶になれたのも

基礎をしっかり教え込んで下さった

師匠のお陰です。

 

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師は、親や先輩とは全く違う存在です。
ビジネスシーンのメンターとも
意味合いが違います。

「親子は一世

 夫婦は二世

 師弟は三世の縁」
というくらい、

出会うべくして

師弟関係を結ぶものでもあります。

 

人はそれなりの年齢になると、
指導されることが少なくなり、
自我ばかり大きくなって
人の意見というものが
鬱陶しくなる傾向があります。

 

師とは、そんな我欲まみれで
「分かったつもり」の大人を
指導して下さる存在です。
人生の軌道修正をつけて下さいます。

 

個人の尊厳・自由さも大切ですが、
人はそんなに尊くも賢くもありません。
滅私とは、決して自己犠牲の意味ではなく、
むしろ、我欲からの解放だと思います。
そこに師について学ぶ意味があります。

 

いくつになっても弟子は弟子。

 

そして、師から学んだものを
広く社会に還元していくことが
何よりの報恩だと思って
自称・不肖の弟子は
活動しております。

私の好きな一枚

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ねむの木学園を立ち上げた頃の

宮城まり子さんです。

言葉はなくとも、

伝わるものがあります。

 

www.youtube.com

「やさしくね

 やさしくね

 やさしいことは

 強いのよ」

 

 まり子さんは、

 その言葉を

 体現されています。

 

 

 

 

 

アド街ック天国・高萩

「柿の木に 一つ残りし 熟し柿」

中学時代、国語の先生が詠んだ自作です。

秋の句と思いきや、

「一つ残りし 熟し柿」なので

冬の句だそうです。

この時期になると思い出す一句です。

 

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写真は妙法庵の渋柿。

父が幼少の時から

生っていたというので

樹齢70年以上です。

何の手入れもしないのに、

毎年たわわな実をつけてくれます。

お爺さんの手のような

しぶい木肌に

樹木の逞しさを感じます。

 

妙法庵がある高萩市

テレビ東京アド街ック天国」で

取り上げられます。

11月4日夜9時放送です。

秋は花貫渓谷の紅葉で賑わうので

その様子も取り上げられるでしょう。

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花貫渓谷から車で一時間ほど

山間に入れば、日本三大瀑布の

大子町袋田の滝もあります。

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高萩市から30分ほど北上すれば

平潟漁港があり、これからの時期

冬の味覚・あんこう鍋も味わえます。

 

11月26日(日)は

妙法庵にて今年最後の

お経と法話の会を行います。

今回は日蓮聖人のご命日法要・お会式法要です。

高萩の秋を観賞がてら、

どうぞ妙法庵にもお参りください。

 

腎臓病を癒す瞑想

日本における腎臓病患者数は、

1300万人以上、
8人に1人という高い割合です。
腎機能が低下すると、人工透析に入りますが
透析は患者さんにとって心身ともに

負担が大きい治療です。
また、透析にかかる医療費も
莫大な額にのぼることは周知の通りです。

 

茨城県取手市でクリニックの院長を勤める
椎貝先生は透析回避を目指して、
あらゆる治療法を取り入れ、
その治療成績と、患者さん本位の対応は
絶大な信頼を集め、全国から多くの患者さんが
受診にみえます。
長年の取り組みで、透析に入らない患者さんも
増えているそうです。
椎貝クリニックのHPはこちら

 CKD(慢性腎臓病)外来の椎貝クリニック

 

厚労省は新たな補完治療と
医療費削減に向けて、

代替医療に取り組んでいます。
先生も保存療法の一環として、

瞑想の効果に注目し、治療に取り入れて、

臨床データを蓄積しています。

病院スタッフの指導の元、
現在も300人ほどの患者さんが
瞑想に励んでおられるそうです。

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私の父も患者として
お世話になっているご縁で
昨年より声をかけていただき、
患者さん向けの全国大会で
瞑想の実演をさせていただいてます。
医療の現場に、瞑想という仏教の根幹が
活かせることは、とても喜ばしいことです。

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昨年同様、腎疾患の分野で著名な
3人のお医者さんによる
講演の後、「病を癒す瞑想」と題して
30分ほど実演を交えたお話をしました。

お医者さんの講演の中で興味深いデータがありました。

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瞑想を行っている腎疾患の僧侶は、
同じ病状の一般人と比べて、
クレアチニンという数値が安定しています。
これは30年以上前の臨床データですが、
瞑想の効能を医学の分野で取り上げた
貴重なデータで、国際的に評価の高い
医学誌に掲載されたそうです。

 

腎機能は数値化できるので
瞑想による腎機能の変化を、科学的に
立証しやすい分野だそうです。

 

仏道修行の具体的内容は、
心身を健やかに調えるものばかりです。
この叡智を僧侶やお寺の中だけに
閉じ込めておくのは勿体無い、
もっと世間の人々に広く提供したい、
と願い活動してきた私には、このような
機会は坊さん冥利に尽きるものです。

 

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病院は生老病死の現場、
医療関係者は、そのエキスパートです
お寺は、死だけの現場?
お坊さんは、死のエキスパート?
だけであってはならないはずで、
私自身、これからも研鑽を積んで
ゆかねばと襟を正す想いでおります。