お坊さんの独り言

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宮沢賢治著 『オツベルと象』

耳で聴く名作、

朗読CDにて宮沢賢治の童話に

触れました。

彼の作品は擬音が多用されているので

朗読で触れると味わいが増します。

 

この作品をブラック企業

新入社員に重ねて考察したブログ、

添付させていただきます。

marunanahoshi.hatenablog.com

 

疲労困憊した一日を終えて

「サンタマリア・・・」と

独りつぶやく小象。

 

信仰とまでは云わなくても

その呟きに美しさを感じませんか?

 

名作の根底には

神仏や人智を超えた

大いなる「なにものか」が

テーマとしてあり、

だからこそ心を揺り動かされます。

 

法華信者の賢治ですが、

その枠にとらわれない

自由で壮大な信仰世界に

とても魅かれます。

 

 

 

 

 

 

 

日蓮聖人736遠忌

1282年(弘安5年)10月13日、

午前8時頃ご入滅、聖寿61歳。

(今年の暦では11月30日に正当)

 

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立正安国論』の冒頭は

骸骨、路に満てり・・

鎌倉時代の惨状描写から始まります。

日本人の10人に3人が

命を落としたという状況、

先の第2次大戦でさえ、

10人に1人という割合だった

そうですから、日蓮聖人が生きた当時は

想像を絶するものがあります。

 

立正安国論』に始まり

立正安国論』に終わるご生涯。

 

ある御僧侶から頂いた

お手紙にこう書いてありました。

 

「正法を行じて参りますと

 必ず世間の魔障が競い、

 勧持品の色読を体験せざるを

 得ないというのは、

 内村鑑三氏がキリスト教会の中で

 色読せざるを得ないという

 体験でもあります」

 

「求道の師は、宗教界に無く

 世間の日々厳しい生活の中で

 育まれて行くという気が

 致します。

 けれども、また神仏という

 絶対者を求めてやまない師も

 『爪上の土』として実在するはず

 でありましょう。

 願わくば、そんな師と出会い

 終生、求道の道を歩みたいと

 願うばかりです。」

 

 

お墓参り

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私が20代の頃、

住み込みでお世話になった

師匠のお寺は駆け込み寺でした。

様々な事情のある方々が

お寺で共同生活をし、

時が経てば去って行きました。

 

Yさんは家庭の事情で故郷を離れ、

70歳を過ぎた年齢で

お寺に住み込んだ、

忘れられない男性です。

 

数年後、周りの反対を押し切り、

本人の希望で特養ホームに

転居しました。

その際、私が施設まで送ったのですが

バックミラー越しに

いつまでも手を振る

Yさんの姿は

今だに忘れられません。

 

紆余曲折あって、その後の住まいも

転々とされ、手紙のやり取りや

時折訪ねては外食に連れ出したり

して交流を続けておりました。

 

晩年の数年間は、

故郷に戻ることができ、

息子さんと暮らすことが叶ったのが

ご本人にとって何よりの幸だったのでは、

と思います。

 

時折、ふとお墓参りに行かせて頂きます。

今日も秋晴れ、思い立ち墓参に伺いました。

墓所の草むしりをして、線香を手向け

読経しながらYさんに語りかけました。

 

お墓を掃除した後の

お参りは、気持ちが

さっぱりします。

なんとも言えない安堵感があります。

 

折よく、ご住職も境内で草むしりを

されていたので、お布施を包み

供養の卒塔婆を依頼しました。

 

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帰りに足を延ばして

諏訪大社の秋宮へ参拝、

その後、門前にある大衆温泉にて

身体を癒しました。

 

亡き人を供養しているようで

実は亡き人に助けられている。

心底、そう実感することが多々あります。

今日はYさんに心から癒された一日でした。

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摘み草サミット

甲州市塩山で開催された
「摘み草サミット」を拝聴してきました。
甲州市で長年、摘み草の活動をなさっている
鶴岡舞子さんの告知で知りました。
詳しくは、こちら

http://www.koshu-sci.jp/news/post-79.html

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会場は塩山駅前にある通称・甘草屋敷。
江戸時代に甘草を栽培し成した財で
建てられた素敵な邸宅で、

文化財に指定されています。
庭には今も甘草が栽培され、
町おこしに活用されているそうです。

 

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雑草という草は無い。
言葉通りの講演でした。
摘み草と呼んで、食用や薬用として
古来から重用してきた自然の恵みについての
お話は、とても新鮮でした。

町おこしは、金かけて建物作るんじゃなくて
足元にある摘み草から!という

講師のお言葉も納得です。
これ、あらゆる分野にいえますね。
お寺の世界にもいえることです。

 

長野県売木村で、
摘み草の食堂を経営されている

村職員の方が
最後にご挨拶されました。


標高800m、冬はマイナス20度まで下がり
夏は30度を越す、厳しい環境の村だそうです
けれど、不利な条件を嘆くのではなく、
村にあるものを創意工夫し商品価値を高め、
県外からも人がやってくる。

下記の写真は村で採れる
月別の摘み草料理一覧表です。

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どこにでも生えていて、馴染みのある
雑草、いや、摘み草の

調理法が記してあって
目から鱗です。


これを作製したセンスも素晴らしいと思います。
うちは何も無いと嘆く市町村は、

こういう場所へ
どんどん視察に行って、

学び取り入れていったらよいのに、

と思いました。

 

講師の篠原先生は、

摘み草研究の第一人者であり、
興味深いお話が多々ありました。


ゲンノショウコは薬効成分も考えて
夏至の日に採取するのが一番いいとか、
畑に広く繁殖するスベリヒユは、
DHAオメガ脂肪酸を多く含み、

胃痛などにも効くとか、
普段、摘んで捨てている

植物の成分と効能など
知らないことばかり。

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私は農家の育ちですが、これら摘み草の効能について
全くといっていいほど知らなかったし、

気にもとめませんでした。
昔の日本人は、これらを調理したり、

お薬にして生活を営んでいたんですね

 

この講演会には、山形や新潟など遠県から聴講に
来られた方もおり、関心の高さを示しました。
こうした意識ある方々が、大自然や古来からの叡智を
学び、実践していくことが後世へ最大の贈り物となります。
私もその一人として、自然との共生を掛け声だけでなく
日常に取り入れていきたいと思いました。

 

 

 

ご廟所参り

私が心より尊敬し、

僧侶の鑑と仰いでいる

日本山のM上人様。

ご信者さんと一緒に

身延参りに来られました。

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M上人様とは

15年ほどのお付き合いで

親子ほどの年齢差がありますが

信頼をもって何でも話せる間柄です。

お断食行や海外行脚にも

幾度かご一緒させて頂きました。

 

数年前、事故で

片足を失っておられますが

義足を付けてご修行に

励んでおられます。

そのお姿に教えられることが

多々あります。

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身延に来ると毎回、

ご廟所前庭にて

一時間の唱題行を行います。

 

「お題目は唱える、というより

 叫びだ!

 醜い己の魂を救ってくれ!

 と魂が叫ぶ声だ!」

 

きれいごとではない

人生の諸問題に

直球でぶつかってきた

M上人様のお題目は絶叫します。

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仏法に依って

人に依らざれ。

されど、

仏法は人によって尊し。

 

良き師に出逢うことは

何よりも尊いことだと

つくづく感じます。

 

 

 

 

甲州市の国宝・大善寺

十五夜の晩、

慰労と研修を兼ねて

宿坊へ一泊してきました。

以前から関心があって

一度はお参りしてみたかった大善寺

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奈良時代行基菩薩開山の古刹で、

檜皮葺きの本堂は関東最古の木造造り、

国宝に指定されています。

甲州市甲斐源氏の武田家滅亡の地でもあり、

大善寺も深い関わりがあります。

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ちなみに武田家の家臣・土屋氏は

茨城県の土浦城主であり、大善寺の仏像などを

寄進、県文化財指定の山門も土屋氏寄進に

よるものです。

こんなところに、茨城つながりがあったとは。

その山門前では幕末、新選組近藤勇

官軍と戦ったそうです。

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こちらのご本尊・薬師如来

ブドウを片手に持つ風変わりな如来様。

そのいわれは、下記の通りです。

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私も山梨県立博物館の特別展示で

拝観したことがありますが、

手にブドウを持つお姿は

どこかユーモラスであり

親しみやすい仏様でした。

そのお姿は、五年に一度のお開帳のみで

来年10月1日~14日まで公開されるそうです。

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ちなみに、こちらのお寺では

ブドウ畑を栽培し、様々な品種のブドウ販売や

ご住職手製のワインも人気だそうです。

夕飯に白ワインを頂きましたが、

飲みやすく、とても美味しかったです。

 

大善寺佐々井秀嶺上人が

小僧修行を積まれたお寺でもあります。

インド仏教の頂点に立つ日本人僧として

高齢の現在もご活躍ですが、

インド出立の前、大善寺のご住職や

ご家族に大変お世話になったそうです。

お寺の奥様から色々とお話を聞かせて

頂きました。

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山岳修験の霊場としても名高く、

鎌倉時代造立の等身大ほどもある

役行者を祀る行者堂があります。

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先代ご住職は霊験高く、

旱魃で近隣の農民が苦しんでいる時、

この行者堂に籠って修行し、

雨を降らせたとか、数々の逸話を

佐々井上人の著書で読みました。

ガラス越しに拝見した役行者像は

今にも動き出しそうな雰囲気を

漂わせていました。

 

案内の方々も対応が丁寧で

気持ちよくお参りさせて頂きました。

境内からの見晴らしもよく、

これからの紅葉も楽しみなお寺です。

想像以上に素晴らしいお寺でした。

山梨でおすすめしたい名刹です。

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帰りには、車で10分ほどの高台にある

温泉・天空の湯で露店風呂から

甲府盆地を一望、気持ち良いリフレッシュができますよ~。

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中秋の名月

今日(10/4)は旧暦の8/15日、

中秋の名月十五夜ですね。

旧暦の9/13日は後の月・十三夜。

もともと満月を愛でるという風習は

中国で唐代の頃に始まったといわれます。

 

日本には平安時代に伝わり、

室町の後期にはお月さんに

お供え物をする風習が

始まったそうです。

 

十三夜、後の月は名残の風情があり、

これを愛でる風習は日本だけだそうな。

日本の自然観・季節の美しさに

美意識を表す「花鳥風月」にも

月は欠かせません。

 

十五夜のお月見だけして、

十三夜のお月見をしないことを

「片見月」といって

縁起が悪いともされます。

 

お供え物は十五夜は芋、

十三夜は豆や栗ですので

十五夜は別名、芋名月

十三夜は豆名月とか栗名月

と呼ばれます。

 

インド医学・アーユルベーダでは

十五夜の月光浴をしながら

裸足で大地を歩くと、

体調が整うのだとか。

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特に月の陰性の性質をもつ

女性にお勧めだそうです。

現代人は電磁波に触れまくって

生活していますから、

裸足で大地に放電することで、

文字通りアースの役目を

果たしてくれるのでしょうね。

 

理にかなった暦の文化、

生活のアクセントになりますね。

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