お坊さんの独り言

活動詳細はHP「妙法庵」で検索ください

大曼荼羅のお話

曼荼羅(まんだら)とは諸仏諸尊の集合体、

神仏の世界観を現した図像のことで

「円満」を意味するそうです。

密教曼荼羅を想起する方が

多いでしょうね。

f:id:myohouan:20210409154516j:plain

f:id:myohouan:20210409154457j:plain

 

日蓮聖人は、文字で図顕されました。

f:id:myohouan:20210409154725j:plain

構成の詳細は省きますが、

(関心ある方は検索ください)

羅列された諸尊がひな壇形式に

正面を向いていると

捉えられがちなのですが

実は違います。

 

お題目上方の左右に顕された

お釈迦様・多宝如来のみが正面を向き、

他の菩薩・神々はお二人の如来

仰ぎ見奉る対面構造になっているのです。

これを仏界と他の九つ世界が対面した

九一対面構造といいます。

 

曼荼羅の世界に私たち人間も

存在しているのですが、

この世界観を造形として立体化すると、

どのような祀り方になるのか?

 

世界遺産であるジャワ島の

大乗仏教遺跡・ボロブドール遺跡が

そのモデルになるのでは、と思います。

f:id:myohouan:20210409160521j:plain

f:id:myohouan:20210409160538j:plain

バベルの塔のようじゃないか!

という方もおられるかもしれません。

違います、神の怒りに触れて壊されるような

建造物ではありません。

詳細は専門的になるので省きます。

 

過日、本栖湖畔にある

台湾仏教の寺院・本栖寺の本堂に

お参りさせて頂きました。

静謐な本堂に聳え立っていたのは

圧巻の美しさを放つ仏塔でした。

本堂写真は撮影許可を得ております。

f:id:myohouan:20210409161534j:plain

f:id:myohouan:20210409161647j:plain

華蔵世界を顕わしており、

お釈迦様はじめ他の如来様が

祀られております。

法華経に説く多宝塔とは

構成が違いますが、日蓮聖人の大曼荼羅

立体化すれば、おそらくこのような

宝塔形式で諸仏諸尊が鎮座する形状に

なるだろうと思われました。

f:id:myohouan:20210409162131j:plain

日本人には五重塔が古来より

親しみがあるように、

仏教と宝塔信仰は切り離せません。

インド・ネパールを旅しても

仏教・ヒンズー教を問わず、

各地で大小さまざまな宝塔が

信仰の対象とされていました。

f:id:myohouan:20210409162900j:plain

f:id:myohouan:20210409162914j:plain

形が第一ではないですが、

荘厳美は信仰心を引き出すのも事実です。

法華経曼荼羅の世界観を

立体化して本堂に祀ることが出来たら

どんなに素晴らしいことだろうと

本栖寺の仏塔を仰ぎ見ながら

想像した次第です。