お坊さんの独り言

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姉弟子の死

姉弟子の尼僧さんが亡くなりました。

弟子仲間の中で、

師匠の一番弟子でもありました。

 

思うところあって

私は中学2年生の時、

初めて師匠のお寺に一週間ほど

滞在しました。

お寺で師匠と共に

切り盛りしていたのが

姉弟子のM尼僧さん。

当時40代、気さくで朗らかな尼僧さんでした。

会社員から転じて出家したそうです。

 

あれから30数年・・・

いつしか私も弟子仲間に加わり

姉弟子には何かとお世話になりました。

 

常々、口にされていた

「尼僧は忍耐強いのよ」の言葉通り

小柄な体で数々の困難を

超えて来られたタフな尼僧さんでした。

 

坊主頭に

いつでも作務衣姿で

生涯独身を通し、

寺を持つことなく

一人の僧侶として

一期を全うされました。

 

身延にお住まいだったので

近隣にいる私も同行し、

師匠夫妻に随って

荼毘までご供養させて

いただきました。

 

驚くほど

きれいなお顔でした。

70代だったのに、

澄んだ少年のような

実に品のある御相でした。

大げさでなく

仏様のようなお顔でした。

 

生前は苦労が多く、晩年は病気にも

悩まされたそうですが

日蓮聖人のお弟子として

お題目信仰一筋に

一期を全うされた、

その功徳が御相に表れたと

感じました。

 

寺を持たない姉弟子が

小さな部屋にお祀りして

生涯拝まれた御本尊。

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自身にはお金をかけずとも

仏事には惜しみなく使っていたとか。

立派に表装された御本尊はお導きとして

棺に納められました。

 

満月の日、

遺骨になった姉弟子は

師匠夫妻に抱えられ、

師匠寺の房総半島へ戻りました。

 

日蓮聖人のご命日月に

晩年過ごした身延から故郷の房州へ

日蓮聖人の足跡をなぞるように

姉弟子も帰っていきました。

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