お坊さんの独り言

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日本テーラワーダ協会・釈尊ウエサク祭

スリランカなどの上座部仏教では

5月の満月に降誕・成道・涅槃を祝う

ウエサク祭を行います。

満月の2日前、27日の祭典参加のため

東京中野に行って参りました。

毎年楽しみに参加している

原始仏教の学びと瞑想の集いです。

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スマナサーラ長老による冒頭の挨拶が

印象的でした。

仏教徒とは、仏様を崇め奉る人ではなく、

 仏様に褒められる生き方をしている人です。

 仏教を知識ではなく、実践している人です。」

 

来賓のスリランカ大使による挨拶も

素晴らしいものでした。

 憲法で仏教が守られているスリランカでは

ウエサク祭の3日間は国民の休日

加えて毎月の満月にも休日になるのだとか。

その日はお寺に参り、日常生活で汚れた心を磨く

善行に努めるそうで、

肉屋さんや魚屋さんも休店して、

その一日だけでも生きとし生ける生命たちが

幸せに過ごす誓いの日なんだそうです。

 

1951年、サンフランシスコ講和条約での

日本分轄案にスリランカの大臣が

釈尊の言葉を引用して、廃案実現に

貢献したお話もありました。

「憎しみは憎しみによって

 止むことなく、

 愛によってこそ、はじめて止む」

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早稲田大学人間科学学術院教授で

マインドフルネス瞑想を

医療分野にリードされている

熊野宏昭先生の記念講演も

大変参考になりました。

 

瞑想の継続によって

記憶をつかさどる海馬が活性化して

心身症に効果があるお話、

 

「診断の論理としては、四諦や十二因縁

 治療の論理としては、八正道」の有効性など

興味深いお話の連続でした。

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スマナサーラ長老との対談も

息がぴったり。

老いわく、

「仏教は心をターゲットにしています」

との言葉には、長年にわたる

実践が裏付けられています。

会場は終始穏やかな雰囲気と

笑いに満ちていました。

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300名ほどの参加者だったでしょうか、

お互い顔も知らない人達ばかり、

仏教の信仰があるのかどうかも

分からないけれど、

朝の10時から夕方5時まで

まる一日、仏道と向き合いました。

 

入場無料、出入り自由、

お昼のお弁当は

御一人の女性信者さんによる

ご奉納でした。

そして、協会の会員さん達による

ご奉仕の会場運営。

 

毎年感じることですが、

ご利益信仰を求める集団ではなく、

お釈迦様への純粋な信頼と

仏法真理を実践したいと熱望する

人達が集う、真心のこもった祭典でした。

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宗教離れ、仏教離れ、寺離れ、教団離れ、

そんな憂いと嘆きを

ここでは微塵も感じませんでした。

 

これまでの体制や形式から

離れていく、崩れていく。

諸行は無常なのだから

当然のことです。

でも、真理の灯明だけは

決して消えない。

だって、スマナサーラ長老が仰った

「真の仏教徒」になろうとする市井の方達が

こんなに多く駆け付けるのだから。

 

祭典の最後に

長老とスリランカ人青年僧が

お唱えくださった

パーリ語の読経が会場全体に

心地よく響き渡り、

神聖な雰囲気の中で

締めくくりとなりました。