お坊さんの独り言

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丸山御上人様のご逝去

出会いは人生を彩ります。

日本山のご出家・丸山御上人様とのご縁も、

尊い一つのお出会いでした。

中央の方が丸山御上人様です。

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出家前の丸山御上人様は

植木職人を生業としながら

日本山のご信者さんとして

お題目信仰に励んでおられました。

 

13年前に発心され、

牧野御上人様を兄弟子に頼み

出家得度されました。

得度式の4月28日・日蓮聖人様が

初めてお題目開宗宣言された聖日

 

その日、兄弟子の牧野御上人様は

核廃絶の行進でNY国連本部に向けて

大行脚の道中であり、私もその一員として

同行しておりました。

 

アメリカの大地から昇り来る

ご来光を拝んでいる最中、

丸山御上人様から得度式を受けます

との国際電話が入り、

牧野御上人様と喜びを分かち合った

思い出があります。

 

出家後は、厳格かつ情の篤い

兄弟子と生活を共にしながらの

ご修行が始まりました。

 

ある日、道場にお邪魔すると

背筋を伸ばしてノートに写経を

しておられました。

7万文字もの法華経の全漢文、

併せて書き下しも写経されていて

驚きました。

膨大な文字数です。

私も真似して写経を始めましたが

すぐに頓挫しました。

やったことのある者なら分かる分量です。

 

今回のご葬儀後、

日蓮聖人様の御書も振り仮名付で

書き写しておられた事を知りました。

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書き写したノートは

古い御袈裟の生地で

丁寧に表装されていました。

いくつもの写経ノートは

修行の足跡であり、御上人様の人格を

如実に表しておりました。

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裏表が一切ない

欲得を離れたお方でした。

私の親の年齢でしたが、

冬場のお断食ご修行も

薄着で背筋を伸ばし

崩れることなく、

朗々とお題目をお唱えに

なっておりました。

 

今回のご逝去は突然でした。

様々なタイミングとご縁で

荼毘には牧野御上人様と私が立会い

二人でお骨を拾い上げました。

誰もが認める大往生でした。

 

ご葬儀には道場を埋め尽くす

大勢のご出家やご信者さん、

市民運動の方々が参集くださいました。

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丸山御上人様のお人柄にふさわしい

穏やかで清々しささえ覚えるような

温かいご葬儀となりました。

 

ご逝去からご葬儀まで、

私も浅からぬご縁のあった者として

お手伝いに立ち会ってきましたが

あらゆる場面が人間ドラマの連続でした。

静かな感動を受けながら。

 

「人は生きたようにしか

 死ねないものだ」

そんな言葉が浮かびました。

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喪主でもある牧野御上人様の

会葬礼状を、ここに謹載いたします。

 

「南無妙法蓮華経

 丸山上人の想い出

 

 丸山上人は13年間の出家生活を終えて

 お浄土へ旅立たれました。

 丸山上人は、お会いした人が誰しも

 感ずるように、柔和・誠実の人でありました。

 怒りの顔を見せたことがない人でした。

 人の悪口を言うのを聞いたことがありません。

 

 それに較べて、兄弟子となった私(牧野)は

 粗野で、短気で、怒りっぽいという性格です。

 丸山上人は、ひたすら耐え続けた13年間でもありました。

 

 けれども、私も又、単刀直入、率直、正直という

 性格のまま、丸山上人と格闘した13年間でもありました。

 

 1年たち、2年たち、3年経過する中に、

 彼の内に、信仰の喜びが育つのが私には観て取れました。

 丸山上人は文字の素養が薄い人でありました。

 鈍根な人でありました。

 けれども、その分、悪知識にごまかされること無く、

 心で判断できる人でありました。

 

 宗教の肝要(目的)は、

 三世(過去・現在・未来)を生きる

 お命の発見であると私は思っています。

 丸山上人は日々お唱えするお題目の功徳によって、

 その本来のお命に芽ざめて行ったと思います。

 

 丸山上人は、ひと月に数日、止住する群馬県西岡道場にて

 1月19日、一日の眠りにつくが如くに

 忽然として遷化されました。

 

 ご苦労様、丸山上人。

 また、お出会い致しましょう。丸山上人。

 さようなら、丸山上人。

 ありがとう、丸山上人。

                 平成30年2月12日

                    牧野行揮 合掌

丸山裕市上人御霊前

(行忍院日裕上人)