お坊さんの独り言

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臘八お断食唱題修行

今年もおかげさまで

お断食のご修行が

終わりました。

 

2キロほど痩せ、

体力も落ちていますが

外界の様々な風景が

普段と違ってみえる

意識の新鮮さを

感じています。

 

12月8日は

お釈迦さまが悟りを開いた日と

されています。

その8日までの約一週間、

例えば禅宗などでは

臘八接心と名付けて

睡眠も削り座禅を

組み続けるご修行を勤めます。

 

日本山妙法寺では

お断食をして太鼓を打ち、

お題目を唱え続けるご修行を

勤めます。

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私もご縁があって

約10年ほど、この時期に

ご修行させていただいております。

今年も朝5時から夜7時まで

太鼓を打ち、お題目を唱え

続けました。

堂内が寒いので

帽子をかぶり、ひざ掛けをして

勤めます。

 

1日から3日までは

水も飲みません。

個人差はありますが、

私はいつも3日目から

胃液がこみ上げ、頭痛がします。

寝る時も心臓の鼓動が感じられます。

お断食をすると、体の悪い部分が

如実に現れ出るといいます。

 

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毎朝、ご来光を拝みます。

冷え切った外気の中、

道場正面の山並みから

輝き出る太陽光の美しさは

衰えた心身に鋭気を与えてくれます。

 

4日目朝のお勤め後、

ようやく水が飲めます。

水を飲みこみ

内臓に染入る瞬間、

この感覚ばかりは

体験しないと分かりません。

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水の後は、

梅湯を丼に八杯ほど飲み干し

腸内を洗い流します。

強制的に下して宿便を出すのです。

ここまでは気が抜けない行いです。

 

下し切って排泄すると、

全身の細胞が生まれ変わったような

爽快感を感じます。

心なしかお肌もスベスベします。

 

その後は、生野菜やフルーツ、

夕飯に芋やそば粉などを食べて

お腹を整えます。

翌日から5,6日と

再び断食をして7日に

同じ排泄を行います。

 

日本山の御上人様の中には

8日まで休みなく

ぶっ続けでお断食をされる方も

おられるそうです。

 

8日の朝、お釈迦さま成道会を

お祝いする法要を行い、

今年も無事満行となりました。

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このご修行は

お断食がメインではなく、

食事の時間を割いてまでも

お題目をひたすら唱え続ける

ことに意義があります。

 

とはいえ、毎年のことながら

未熟な私は睡魔と寒さと

空腹に疲労困憊し、

お題目の声も途切れ、

なかな集中状態には入れません。

 

お題目とは一体

何なのか?

なぜ、こんなに唱え続けねば

ならないのか?

 

お題目に命を捧げた

日蓮聖人様とは

いったい何者なのか?

お題目が世界を救うとは

本当なのか?

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知識や教学で学んだことではなく、

わが肉体を追い詰めた状態で

お題目と向き合う。

この過程にこそ、意味があります。

 

この貴重な8日間を

共に苦しみ、導いて下さった

道場主の御上人様が

時折、発せられる一言一句に

今回も大きな学びがありました。

 

口先ではない、魂から発せられる言葉には

人生哲学を超えた、信仰の大安心があります。

これをわが身に消化し、

ご縁のある皆様に伝えていきたいです。

 

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道場下界の畑では、

お百姓さんがラジオを流しながら

気持ちよさそうに

畑を耕しておりました。

 

澄んだ空気を

身体いっぱい吸い込み

感謝感謝で下山しました。