お坊さんの独り言

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南アルプス市・切子六角堂祭礼

日蓮宗では

幣束を祭壇に祀り、

神仏を招来する儀礼があります。

明治の廃仏毀釈まで、

神道と仏教は互いに影響しあい

時には融合して、民衆に浸透してきました。

神道の幣束を仏教が取り入れたのも

その流れといえます。

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山梨県南アルプス市

六角堂祭礼は

切子という精緻な切り紙幣束を

奉納することで有名です。

日蓮聖人のご命日に行われた

年に一度の祭礼に、幣束の勉強も兼ねて

お参りさせて頂きました。

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沢登切子保存会」のHPには

切子について下記のような説明があります。

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 この「切子」は、美濃和紙を5枚~10枚程重ねて、

 図柄や模様などを「切り透かし」ていく

 まことに繊細な美しいもので、光に透くことから

 別に「おすかし」とも言われている。

 

 図柄や模様は、人物や花鳥風月など自由であるが、

 地紋として「麻の葉」を使わなければならないとされている。

 「切子」は、沢登の若者達によって作られるが、

 図柄を考え、仕上げるまで3ヶ月~半年もかかるので、

 その年の初めから制作に取りかかる。

 

 伝承によれば、今から三百数十年前の寛文年間

 (第六代将軍徳川家宣の頃)には、既に村人達が

 時の代官に献上していたとも伝えられている。

 「切子」は、祭りが終わる14日に、

 観音様のお礼や供物と共に区内全戸に配られ、

 家内安全のお守りとして神棚などに飾られ大切に保存される。
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お堂の周りには、地域の方々が

根気強く、長期間に渡って

切り上げた作品が祀られました。

小学生から大人まで、地域住民の力作は

職人の域です!

 

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堂内では役員の方々が

直会の酒を酌み交わし、

境内の出店には

子供たちの歓声がありました。

 

このような伝統行事を

連綿と続けている地域は

やはり神仏に守られると思います。

 

その土地に根付いた文化を

大切に継承する祭礼を見て

心が温かくなりました。