お坊さんの独り言

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供養の極意

明日から秋のお彼岸週間です。

民俗学の大家・五来重氏(茨城県日立市出身)

によると太陽信仰の「日願」が

語源では?という説もあり、

日本独自の風習として

古来より定着しています。

秋の彼岸が近づくと

彼岸花曼珠沙華が咲き始めるのも

大自然の妙ですね。

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毎年、この時期は師匠のお寺へ滞在し

檀家さんがお墓に建立する卒塔婆

書いて供養しております。

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先祖供養は日本仏教の象徴と

捉えられがちですが、

インドのヒンズー教でも先祖崇拝の期間が

あるそうです。

ピトリ・パクシャと呼ばれ

満月から次の新月までのおよそ2週間、

この間に亡くなった魂へ祈りを捧げるそうです。

 

今年は9月7日から20日までの約2週間、

神聖なマントラを唱え、先祖のカルマ解消を祈り

安らかな魂の歩みを助けます。

魂に留まる強い欲求は、死後においても

現世にその魂を閉じ込め、その苦痛は

子孫に至るまで様々な影響を与えると伝えられるとか。

そんな先祖たちの満たされない思いを鎮めるために、

祈りの儀式を行うそうです。

こんなお話、日本でも耳にしますね。

 

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師匠のお寺がある地域では、

お墓に生米を撒いて清める風習があります。

以前、インド北部・ラダックにある

チベット仏教僧院に滞在した時、

信者さんが購入した仏具に

僧侶が生米を撒いて

祈祷している姿を見て、

原点を見た思いがしました。

祈りの想いは世界共通ですね。

 

お檀家さんがお墓掃除に来山し、

久々の再会に話も弾みます。

亡きご先祖を供養すると共に、

生かされている我々の心が繋がって

満たされた安らぎを得るのが

供養の極意なのかもしれません。

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