お坊さんの独り言

活動詳細はHP「妙法庵」で検索ください

妙法庵・お会式法要

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今年最後の信行会、

日蓮聖人のご命日法要・お会式を営みました。

今回は初参加の方や、生後2ヶ月の赤ちゃんも

参列して穏やかな法要となりました。

 

日蓮聖人のご生涯を貫いた

立正安国論」の精神を

宮沢賢治さんは

「世界が全体幸福にならない限り、

 個人の幸福はあり得ない」と

表現しました。

 

その精神を体現されている

国境なき医師団の看護師、

白川優子さん。

著書の『紛争地の看護師』を

参詣の皆さんにご紹介しました。

 

イラク・シリア・パレスチナ

8年間で17回派遣され

生と死の極限を綴った著書です。

 

まえがきにある言葉です。

「医療に国境はない。

 私は本当にそう思っている。

 国、国籍、人種を超えた、

 同じ人間としての思い。

 報道にもならない場所で

 医療を求めて泣いている人々の

 痛みや苦しみを見過ごすことは

 やはり私にはできない。」

是非、多くの方々に

読んでいただきたい

世界の真実です。

 

 

 

 

 

10月山梨法話会

f:id:myohouan:20181029175457j:plain月末に行っている山梨法話会。

今月は2名の女性が初参加、

読経後に八正道の一つ「正命」について

お伝えしました。

 

作家の村上春樹氏が

心無い批判中傷を受けた時、

どのように克服しているのか、

という読者からの質問に

「規則正しい生活や仕事が

 あらゆる出来事を

 標準化してくれる。」

と答えておられました。

 

私自身もこれまでの経験で

同様の確信をもっているので

正命になぞらえてお話させて

いただきました。

 

今月も参加くださった皆様、

有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

姉弟子の死

姉弟子の尼僧さんが亡くなりました。

弟子仲間の中で、

師匠の一番弟子でもありました。

 

思うところあって

私は中学2年生の時、

初めて師匠のお寺に一週間ほど

滞在しました。

お寺で師匠と共に

切り盛りしていたのが

姉弟子のM尼僧さん。

当時40代、気さくで朗らかな尼僧さんでした。

会社員から転じて出家したそうです。

 

あれから30数年・・・

いつしか私も弟子仲間に加わり

姉弟子には何かとお世話になりました。

 

常々、口にされていた

「尼僧は忍耐強いのよ」の言葉通り

小柄な体で数々の困難を

超えて来られたタフな尼僧さんでした。

 

坊主頭に

いつでも作務衣姿で

生涯独身を通し、

寺を持つことなく

一人の僧侶として

一期を全うされました。

 

身延にお住まいだったので

近隣にいる私も同行し、

師匠夫妻に随って

荼毘までご供養させて

いただきました。

 

驚くほど

きれいなお顔でした。

70代だったのに、

澄んだ少年のような

実に品のある御相でした。

大げさでなく

仏様のようなお顔でした。

 

生前は苦労が多く、晩年は病気にも

悩まされたそうですが

日蓮聖人のお弟子として

お題目信仰一筋に

一期を全うされた、

その功徳が御相に表れたと

感じました。

 

寺を持たない姉弟子が

小さな部屋にお祀りして

生涯拝まれた御本尊。

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自身にはお金をかけずとも

仏事には惜しみなく使っていたとか。

立派に表装された御本尊はお導きとして

棺に納められました。

 

満月の日、

遺骨になった姉弟子は

師匠夫妻に抱えられ、

師匠寺の房総半島へ戻りました。

 

日蓮聖人のご命日月に

晩年過ごした身延から故郷の房州へ

日蓮聖人の足跡をなぞるように

姉弟子も帰っていきました。

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10月・1泊2日修行会

今回は静岡県より

ご修行に来られました。

お仕事やご自身の関係上、

マインドフルネスに関心を

寄せておられ、お題目修行を通じて

何かを会得されたようです。

以下、ご感想を掲載させて頂きます。

 

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過去や未来について、

考えても仕方のないことを
考え続けるクセがずっと抜けません。

頭の中の出来事に支配されて、

今を生きていない自分は
このままでは残りの人生も
目の前の出来事が

ただ流れていくままになってしまう。

せっかく生きているのに、

それでは死んでいる事と同じ。


ではどうしたら今を生きられるのか。
今ここに集中する方法について

調べ始めて、本を読んでみるのですが
・・・また頭の中で反芻が起こります。
活字からイメージも湧きません。


これは誰かに教えてもらうとか、

一緒にやってもらうとか
そういうことが必要だ!

と思っていろいろ調べて

たどり着いたのが
こちらの1泊2日の修行会でした。

 

法拳さんが2日間のメニューを

こちらの事情をくみながら
作ってくださっていたことが

大変ありがたかったです。
どのメニューも新しい気付きがありました。

 

中でも食に対しての構え方については
日々の中に是非取り入れて

いきたいと感じました。
ストレスや疲れが溜まると

むちゃ食いをすることも多く
自分の胃腸を痛めつけていました。

それがどうしてもやめられないのです。

 

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今回、食事の意味や食材について

丁寧に考えながら
恐らく初めて本当の「食事」が出来ました。
食べ物をいただくことに

こんなに集中できるとは
嬉しい驚きでした。

 

また、唱題修行について

見ているだけではわからない
本当に愉快な体験をしました。

私の場合、

瞑想やただ座っての題目修行時には
やはり雑念が居座る時間が

長くなってしまう。
雑念を切り離す時も、

無理に追いやっている。

 

法拳さんが傍にいるので、

他者の目がある事にやや意識が向き
完全に自分の中に意識が向いてしまう、

ということも無かったのですが
持ち帰って実践するのは

効果がないかもしれない
自分には合っていなかったかな、

と一旦は思ったのですが・・・

 

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2日目の身延山登山をしながらの題目修行で
雑念らしきものは降ってくるものの、

降ってきてもそれを吟味せず
すぐにポーンと手放すことが出来るようになり
「ああ、このやり方使えるぞ」と思いました。

 

降ってくるのは

大抵今まで出会った人の事なのですが
2時間の登山中にそのネタも切れたのか(苦笑)
自分と面識のない不特定多数の

世の中の様々な人に思いを巡らしたり
お題目にはそういう意味は無いでしょうが
唱えている毎に不思議と、

自分も身近な人も身近でない人も
知らない人も動物や虫も

「頑張れ!頑張れ!」という
普段行きつかない心持になってくるのです。

 

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 自分は他人に不満を持ちやすい人間ですが
こういう心持になることもあるのか、

とこれは嬉しい発見でした。

 

2日間、いろんな場面で

このお題目を唱えたことで
お題目のリズムが

山登りの体の動きと一緒に
身体に記憶させることが

出来たのだと思いますが
ふとした時間、頭の中で

反芻してしまいだすようなタイミングで
お題目が頭の中にループしだすという

現象が修行会の後に起こり
そんな自分にも愉快な心持ちがしました。

 

仏教について信じているかといえば
私はまだまだ半信半疑でしょうが
このリズムは

マインドフルになるのに使える!と思い

歩きながら、自転車を漕ぎながら
あのリズムを生活の中に

取り入れてみようかなと思っています。

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法拳さんには2日間、

本当に丁寧に接していただき
本当に感謝しています。
いろいろ動いて

身体はかなり疲労しましたが
頭は大変にスッキリした2日間でした。


教わったことをそのままにせず
少しでも自分の生活の中に取り入れていき
この機会を後々から考えても

意味のあるものだったと思えるように
頑張りたいと思います。
2日間、どうもありがとうございました。

 

大人の遠足・南アルプスとゼロ磁場

ご縁の方々と南アルプス林道を

大人の遠足。

日帰りバスツアーの企画、

乗務員さんが丁寧に説明してくださるので、

名山に疎い私でもよく理解できました。

 

甲府市伊那市を結ぶ林道バスが

運行されていますが、

途中の夜叉神トンネルまでは

自家用車で通行できるため、

多くの登山客で賑っています。

 

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標高1500mの広河原から望む北岳

南アルプス市にある標高3,193m、日本第二の高峰です。

快晴の中、間ノ岳農鳥岳もよく望めました。

 

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富士川や早川の源流である

野呂川

ヒマラヤの高山を思い出すような

山並みと清流でした。

紅葉も始まっており、

10月中旬が見頃のようです。

 

標高2032mの北沢峠を越えて

長野県伊那市分杭峠・ゼロ磁場に向かいました。

ここは、言わずと知れたパワースポット。

 

日本最古の断層「中央構造線」が縦貫する

分杭峠の一角には、世界的にも有数の

「氣」場があります。

体調が良くなったり、病が改善されたりと

多くの方が訪れています。

何も感じない人でも、磁場の影響を受けているので

心身に良いのだとか。

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私は5年ぶりの再訪でしたが

前回より氣を体感することが出来ました。

 

分杭峠から延長線を引くと

伊勢神宮高野山・吉野の千本桜と続き、

それぞれ良い磁場が発生している聖地だそうです。

ちなみに関東でのゼロ磁場は、

厚木市七沢温泉近辺が有名です。

 

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桂が黄色に紅葉し、

甘い香りを放っていました。

 

日本には美しい山河や海、

そして見知らぬ街並みと

地域民の暮らしが幾所もあります。

時には日常を離れ、知らない土地を

歩いてみるのも良いものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こぴっと畑の草刈り

甲州市にある

「こぴっと畑」で草刈りの

お手伝いをしてきました。

「こぴっと」は甲州弁で「しっかり」「ちゃんと」

を意味します。

野草講座でお世話になっている

鶴岡さんが耕作放棄地を

「こぴっと」整備して

「こぴっと」野草や生き物たちの環境を

調えているビオトープです。

 

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猛暑と長雨で伸び放題になった畑。

刈り払い機で、ひたすら刈りまくります。

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畑には様々な植物たちが生育しています。

けれど、これが素人には分かりません、

鶴岡さんに教えていただきながら

植生を学んでいきます。

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これは小豆の原種。

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一般的な小豆より小さいですが、

逞しく野草と共生しています。

 

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セイダカアワダチソウ、

名の通り私の背丈を超えています。

花粉症のイメージがありますが、

まったくの汚名で、花粉自体は

虫が運ぶので空気中に飛散しません。

昔のインディアンは葉を

喉や歯の痛みに使っていたそうです。

 

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とあるタイミングで採取し、

水洗いして干してから入浴剤として

使用します。

とても爽やかな香りがします。

こうして調えると、雑草が立派な商品になります!

 

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エノコログサ、通称「猫じゃらし」。

これを鶴岡さんは、「ふりかけ」に加工して

人気商品としています。

これが食べられるなんて!

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垂直より、しだれた穂が良いのだとか。

食感や採取時期など、すべて経験で

培った智慧だそうです。

草刈りと並行して、たくさん採取しました。

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摘み草は手袋をせず、文字通りに

手で摘んだほうが手折る箇所や、

どの穂が良いかなど感覚で分かってきます。

目が慣れてくると、探している植物の方から

「ここにいるよ」と言わんばかりに

すぐ見つけられるので面白いですよ。

 

午前中から始めた草刈りは、

夕方になっても終わらず、

日が暮れてからは

室内で採取した野草の選定作業などを

お手伝いしました。

農作業と同じで、

自然相手のお仕事は、

これで終わりという区切りがありません。

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けれど、地に足をつけて暮らす意味が

ダイレクトに実感できるお仕事でもあり、

鶴岡さんとも語り合ったのですが

摘み草は、一つの生き方だと思うのです。

そこに私も共鳴しているので

こうしてお手伝いさせて頂いてます。

 

これから地球規模で

食糧難の時代がやってくる

かもしれません。

野草は救荒植物の役目も担っており、

食料に対する自立した認識と智慧

持つことが大切です。

 

そして、もっと大切なのは

調理法や薬効を知ることより

地球に生きるということ、

我が命と他の命を尊ぶこと、共生の意味を

自らに問うて生きていくことだと

感じるのです。

それを野草たちは、声なき声と

自然な姿で教えてくれていると思います。

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気取った言い方をすれば、

坊さんも一つの「生き方」だと

私は思うし、宗教とは

本来そういうものだろうと思うのです。

教義を知っていても、

何らかの修行を達成したといっても

人間性が壊れている坊さんはいます。

 

私も欠けている箇所が沢山ある

未熟な坊さんですが、

こうして野に立って汗を流すことで

心身から余分なモノが放電して

宗教の本質が感じ取れるような

爽やかな気持ちになれるのです。

f:id:myohouan:20181004155430j:plain標高500m、

甲州の爽やかな秋風が

吹き抜けていく野良仕事でした。

 

 

 

 

 

 

身曾岐神社と御廟所と

台風一過の10月1日を迎えました。

毎月1日は、北杜市身曾岐神社で行われる

古事記を読む会に参加しています。

仏典とは違った新鮮さと面白さを学んでおります。

今日は境内にある能舞台

結婚式が執り行われていました。

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10月の神無月(かんなづき)は

神様が出雲に集合してしまうので

不在なのだ、というのが市井の認識です。

でも、講師の宮司さんが

違った解釈を教えて下さいました。

10月は収穫の季節、食べ物を神様が下さる月。

だから、かみのつき、と呼ぶのが相応しい。

大自然との関係を見れば、納得の呼称だと思いました。

 

勉強会の後は身延の道場に戻り、

法話会のメンバーであるご夫妻と

ご廟所へ参り、共に太鼓を叩いて読経しました。

いつものことながら、

ご廟所の清々しい空気が

とても気持ちいいと喜んでおられました。

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今回、ご夫妻が身延に来た

もう一つの理由は、仏具を調えるためです。

お仏壇で読経をするために、お鈴と木鉦、

そして自分用のお経本が欲しいとの事でした。

 

一般の方には馴染みが薄い仏具でもあり、

使い勝手も含めて、どれを選んだら良いか

見当もつかないと思うので、私が同伴して

使い方も説明しながら購入しました。

 

余談ですが、仏具はどこで購入されても

そう大差はありません。

ですが、日蓮宗専門の仏具となると

品数や品質も含めて、身延山の仏具店に

勝るところはないと思います。

参道には沢山の仏具店が軒を並べていますし、

一般の仏具店には無い珍しい品も揃えてあります。

身延山参詣の帰りに仏具店に立ち寄って

自分好みの仏具に触れてみることをお勧めします。

 

私と同世代のご夫妻、

お題目の信仰を自然に受け入れて

日常生活の柱とされています。

明日からご自宅の仏壇で、

木鉦とお鈴の妙音が響き渡ることでしょう。