お坊さんの独り言

活動詳細はHP「妙法庵」で検索ください

復興は終わっていない

所用で仙台へ向かいました。

JR常磐線高萩駅から

仙台駅まで直通なのですが、

途中、福島原発の避難区域がある為

富岡駅までしか運行していません。

 

いわき駅まで電車で向かい、

駅前から高速バスに乗り換えて

福島県中通りを走行し

仙台駅へ向かいました。

 

仙台在住の修行仲間と

再会し、せっかくなので

沿岸被災地にて

一緒にご供養をさせて頂きました。

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仙台市荒浜地区、

津波で沢山の方々が亡くなられた場所です。

防潮堤が出来上がり、穏やかな海辺に

降りることができました。

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今回が三度目の訪問となりますが、

震災から7年目を迎えようとする現在も

沿岸部の風景はあまり変わっていません。

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冷たい浜風が頬に吹きつけます。

かさ上げ道路工事のダンプカーが

ひっきりなしに往来していますが、

遅々とした進捗状況に見受けられます。

現場に行くと、復興はまだまだ

終わっていないことを実感します。

 

オリンピックにかけるお金を

復興に当てれば、

どれだけの人が助かるかと

つい思ってしまいます。

 

仙台行きの前に

知人の葬儀社さんから

一冊の本を頂戴しました。

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著者の笹原さんは、

私と同世代の納棺師。

震災直後からボランティアで

被災地に入り、沢山のご遺体の

復元をなさってきた女性です。

拝読していて、涙が込み上げ

改めて震災の傷跡が心に染入りました。

 

慰霊後に、友人宅へお参りに。

私と同じ在家出身の彼が

立ち上げたお寺です。

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玄関前には日本山のお寺より

移設した立派な玄題宝塔が

涌現しておりました。

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彼とは国内外も含め一緒に行脚したり

お断食のご修行をしたりと、

様々な苦楽を共にしてきました。

生きた人々へ仏様の教えを伝えるために

彼のお寺では、アットホームな活動を

展開しています。

旧交を温め、有り難いひとときを過ごしました。

 

再び、夕方の高速バスで

仙台駅からいわき駅まで3時間、

常磐線に乗り換えて高萩駅まで50分。

いわき駅から乗車する帰宅の

高校生たち、彼らも辛い震災を

乗り切ってきた生き証人です。

 

夜の寒気で冷えた体を

電車に揺られながら

参考書を開く

彼ら彼女たち。

 

これからの人生に

幸多からんことを!

祈るような想いで

高校生たちを見つめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホーリーマザー・サーラダ―ディヴィー生誕祭

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「近代インドの聖者・シュリ・ラーマクリシュナの妻。

 ラーマクリシュナ存命中は献身的に支え、

 ラーマクリシュナ逝去後は

 家庭や世俗の義務を果たしながらも、

 多くの人々の精神的・霊的な母として

 奉仕の実践を通して

 神の人生を送る。

 故にホーリー・マザーの異名をもつ」

 

逗子市にある日本ベーダンタ協会にて

祭典が行われ参詣しました。

ベーダンタ協会のHPはこちらです

https://www.vedantajp.com/

 

午前の部は協会の住職であられる

マハラジによって法要が営まれ、

午後の部はマザーの教えを

解りやすく解説して下さいました。

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マザーの教えは

ご自身の実践に

基づいたものですから

宗教の枠を超えた普遍性があります。

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「他人の中に欠点を見ると、

 まず自分の心が汚れるのです。

 他人の欠点を見出して

 なんの得るところがありますか。

 自分自身を傷つけるだけです。

 世界中を自分のものとしなさい。

 誰一人として、他人はいないのです。」

 

「人は仕事をしなくてはいけません。

 仕事は心を堕落から救います。

 同時に神への祈りと瞑想も必要です。」

 

 

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信者の方々による

賛歌もありました。

信仰の情熱が歌にも

現れます。

 

マハラジの法話にこうありました。

「豪勢な寺院の中で

 拝んでいても、

 心が散漫で、堕落した想いを

 抱いているのならば、そこは地獄である。

 

 たとえ、世間から忌み嫌われるような

 場所で拝んでいても、

 純粋な心で神を求め、真理を熱望するなら

 そこは浄土である。」

 

 私がベーダンタ協会に

 参詣する理由がここにあります。

 宗派は違えども、協会には

 純粋に道を求め、サンガとしての

 規律ある信仰様式があるからです。

 本物は美しい。その一点につきます。

 

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 信者さん手作りの

 美味しいインド料理が

 断食明けで栄養不足の肉体に

 ありがたい滋養となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎日の祈り

身延の久遠道場滞在中は、

御廟所まで太鼓を叩いて

お参りするのが早朝の日課です。

 

道場に戻る頃、陽が上り始め

朝焼けのグラデーションが

拝める日もあります。

 

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朝参りでは御廟の他にも

祈りを捧げたい場所の

方角に向かって太鼓を叩きながら

お題目を唱えています。

 

現在困難な状況に置かれている方々に

祈りを捧げます。

 

「祈りが何の力になるんだ!?」

 

さだまさし作曲『祈り』の歌詞に

あるように、私は祈る以外には

何の知恵も力もないのです。

だからこそ、祈れるのかもしれない。

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地味な暮らしの毎日だけど、

唯一、祈りが生活を彩ってくれる。

祈りを生活の中心に置いていると

ふと、そんなことを感じる瞬間があります。

 

 

摘み草講座

最近、野草の勉強を始めています。

昔のお坊さんは、野草や薬草の知識があり

お寺や旅先で庶民に処方したり

識別法を教えて救済の一助としていました。

 

私は田舎育ちなのに、野草の名前一つ知らない。

大自然の足元について何も知らない事に

今更ながら愕然として、良き学び場を

探していました。

 

そんな中で出会ったのが

甲州市で摘み草活動を展開されている

鶴岡さんの講座。

詳細は、下記のブログをご覧下さい。

 

過日、2回目を受講しました。

会場前は広々としたブドウ畑と

雄大な富士山です。

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会場がある玉宮地区は

その名の通り、玉石の産地で後方には水晶山が聳えます。

庭を穿り返すと水晶の原石が出るそうです!

これですよ、と見せてくれました。

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目の前の畑を掘ると

縄文土器も出土したそうです。

古代からの神聖な磁場と、

風水的にも地形に恵まれた里山

摘み草の学びが出来る喜びを

感じました。

 

自家採取・焙煎した摘み草の

お茶を頂きながらのお勉強です。

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今回は2種類のブレンドティー、

カラスノエンドウは、ふだん雑草として

刈り込んでしまう草ですが、

とてもまろやかで優しい味がしました。

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現在、私たちが食べている

野菜のほとんどは明治以降、

西洋から入ってきた

植物だそうです。

 

ということは、

明治以前の日本人は、

野草や山菜を食して

命を繋いできたということになります。

毒草との見分け方も承知し、

その調理法も熟知していたはずです。

時には薬草としても活用していたでしょう。

 

「野草を自分の為に

 あつらえることが薬になる」

鶴岡さんの言葉です。

 

一輪の草花にも

無限の宇宙がつまっている。

摘み草を通して

大きな学びと気づきが

ありそうです。

 

臘八お断食唱題修行

今年もおかげさまで

お断食のご修行が

終わりました。

 

2キロほど痩せ、

体力も落ちていますが

外界の様々な風景が

普段と違ってみえる

意識の新鮮さを

感じています。

 

12月8日は

お釈迦さまが悟りを開いた日と

されています。

その8日までの約一週間、

例えば禅宗などでは

臘八接心と名付けて

睡眠も削り座禅を

組み続けるご修行を勤めます。

 

日本山妙法寺では

お断食をして太鼓を打ち、

お題目を唱え続けるご修行を

勤めます。

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私もご縁があって

約10年ほど、この時期に

ご修行させていただいております。

今年も朝5時から夜7時まで

太鼓を打ち、お題目を唱え

続けました。

堂内が寒いので

帽子をかぶり、ひざ掛けをして

勤めます。

 

1日から3日までは

水も飲みません。

個人差はありますが、

私はいつも3日目から

胃液がこみ上げ、頭痛がします。

寝る時も心臓の鼓動が感じられます。

お断食をすると、体の悪い部分が

如実に現れ出るといいます。

 

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毎朝、ご来光を拝みます。

冷え切った外気の中、

道場正面の山並みから

輝き出る太陽光の美しさは

衰えた心身に鋭気を与えてくれます。

 

4日目朝のお勤め後、

ようやく水が飲めます。

水を飲みこみ

内臓に染入る瞬間、

この感覚ばかりは

体験しないと分かりません。

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水の後は、

梅湯を丼に八杯ほど飲み干し

腸内を洗い流します。

強制的に下して宿便を出すのです。

ここまでは気が抜けない行いです。

 

下し切って排泄すると、

全身の細胞が生まれ変わったような

爽快感を感じます。

心なしかお肌もスベスベします。

 

その後は、生野菜やフルーツ、

夕飯に芋やそば粉などを食べて

お腹を整えます。

翌日から5,6日と

再び断食をして7日に

同じ排泄を行います。

 

日本山の御上人様の中には

8日まで休みなく

ぶっ続けでお断食をされる方も

おられるそうです。

 

8日の朝、お釈迦さま成道会を

お祝いする法要を行い、

今年も無事満行となりました。

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このご修行は

お断食がメインではなく、

食事の時間を割いてまでも

お題目をひたすら唱え続ける

ことに意義があります。

 

とはいえ、毎年のことながら

未熟な私は睡魔と寒さと

空腹に疲労困憊し、

お題目の声も途切れ、

なかな集中状態には入れません。

 

お題目とは一体

何なのか?

なぜ、こんなに唱え続けねば

ならないのか?

 

お題目に命を捧げた

日蓮聖人様とは

いったい何者なのか?

お題目が世界を救うとは

本当なのか?

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知識や教学で学んだことではなく、

わが肉体を追い詰めた状態で

お題目と向き合う。

この過程にこそ、意味があります。

 

この貴重な8日間を

共に苦しみ、導いて下さった

道場主の御上人様が

時折、発せられる一言一句に

今回も大きな学びがありました。

 

口先ではない、魂から発せられる言葉には

人生哲学を超えた、信仰の大安心があります。

これをわが身に消化し、

ご縁のある皆様に伝えていきたいです。

 

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道場下界の畑では、

お百姓さんがラジオを流しながら

気持ちよさそうに

畑を耕しておりました。

 

澄んだ空気を

身体いっぱい吸い込み

感謝感謝で下山しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追記です

年末ご多忙の中、

まことに恐縮ですが

久遠道場の大掃除を

お手伝いしていただける方が

いましたら、希望日時をお知らせ下さい。

仏具の掃除など細かい作業も

あるため、一人でもお手があると

助かります。

当日のお昼ご飯は用意しますので

ご奉仕の志ある方、

ご連絡をお待ちしております。合掌

 

お知らせ

12月1日~8日まで

ご修行に入るので、

お問い合わせ等の返信が

できません。

日本山妙法寺青梅道場にて

恒例のお断食唱題修行に

行って参ります。

ご連絡等は8日以降に

お願いいたします。合掌