お坊さんの独り言

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甲州市の国宝・大善寺

十五夜の晩、

慰労と研修を兼ねて

宿坊へ一泊してきました。

以前から関心があって

一度はお参りしてみたかった大善寺

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奈良時代行基菩薩開山の古刹で、

檜皮葺きの本堂は関東最古の木造造り、

国宝に指定されています。

甲州市甲斐源氏の武田家滅亡の地でもあり、

大善寺も深い関わりがあります。

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ちなみに武田家の家臣・土屋氏は

茨城県の土浦城主であり、大善寺の仏像などを

寄進、県文化財指定の山門も土屋氏寄進に

よるものです。

こんなところに、茨城つながりがあったとは。

その山門前では幕末、新選組近藤勇

官軍と戦ったそうです。

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こちらのご本尊・薬師如来

ブドウを片手に持つ風変わりな如来様。

そのいわれは、下記の通りです。

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私も山梨県立博物館の特別展示で

拝観したことがありますが、

手にブドウを持つお姿は

どこかユーモラスであり

親しみやすい仏様でした。

そのお姿は、五年に一度のお開帳のみで

来年10月1日~14日まで公開されるそうです。

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ちなみに、こちらのお寺では

ブドウ畑を栽培し、様々な品種のブドウ販売や

ご住職手製のワインも人気だそうです。

夕飯に白ワインを頂きましたが、

飲みやすく、とても美味しかったです。

 

大善寺佐々井秀嶺上人が

小僧修行を積まれたお寺でもあります。

インド仏教の頂点に立つ日本人僧として

高齢の現在もご活躍ですが、

インド出立の前、大善寺のご住職や

ご家族に大変お世話になったそうです。

お寺の奥様から色々とお話を聞かせて

頂きました。

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山岳修験の霊場としても名高く、

鎌倉時代造立の等身大ほどもある

役行者を祀る行者堂があります。

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先代ご住職は霊験高く、

旱魃で近隣の農民が苦しんでいる時、

この行者堂に籠って修行し、

雨を降らせたとか、数々の逸話を

佐々井上人の著書で読みました。

ガラス越しに拝見した役行者像は

今にも動き出しそうな雰囲気を

漂わせていました。

 

案内の方々も対応が丁寧で

気持ちよくお参りさせて頂きました。

境内からの見晴らしもよく、

これからの紅葉も楽しみなお寺です。

想像以上に素晴らしいお寺でした。

山梨でおすすめしたい名刹です。

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帰りには、車で10分ほどの高台にある

温泉・天空の湯で露店風呂から

甲府盆地を一望、気持ち良いリフレッシュができますよ~。

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中秋の名月

今日(10/4)は旧暦の8/15日、

中秋の名月十五夜ですね。

旧暦の9/13日は後の月・十三夜。

もともと満月を愛でるという風習は

中国で唐代の頃に始まったといわれます。

 

日本には平安時代に伝わり、

室町の後期にはお月さんに

お供え物をする風習が

始まったそうです。

 

十三夜、後の月は名残の風情があり、

これを愛でる風習は日本だけだそうな。

日本の自然観・季節の美しさに

美意識を表す「花鳥風月」にも

月は欠かせません。

 

十五夜のお月見だけして、

十三夜のお月見をしないことを

「片見月」といって

縁起が悪いともされます。

 

お供え物は十五夜は芋、

十三夜は豆や栗ですので

十五夜は別名、芋名月

十三夜は豆名月とか栗名月

と呼ばれます。

 

インド医学・アーユルベーダでは

十五夜の月光浴をしながら

裸足で大地を歩くと、

体調が整うのだとか。

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特に月の陰性の性質をもつ

女性にお勧めだそうです。

現代人は電磁波に触れまくって

生活していますから、

裸足で大地に放電することで、

文字通りアースの役目を

果たしてくれるのでしょうね。

 

理にかなった暦の文化、

生活のアクセントになりますね。

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続・修行会の感想です

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(写真は昨秋のご廟所風景)
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
今回の修行体験は
私にとってとても良い
体験であったと思っています。
 
小さい頃から観音経や真言
唱えることはしていましたが、
 今回ほど多く南無妙法蓮華経
唱えたことはありません。
 
お題目を唱えている間は、
唱えることに必死で
考える暇などありませんでした。
 
唱え終えると頭と胸のところにあった
不安や恐れなどのマイナス感情が
いつのまにか薄くなっていました。
 
頭で考える暇がないほど
お題目を唱えることで、
自分の中でマイナス感情を
増幅したくともできないのが
おそらく良かったのだと思います。
 
母からは頭だけでなく
感覚を使うこともしたほうが良いと
言われたことがあるのですが、
まさにその通りでした。
 
私は昔、人間の悪いところばかりを
見てしまって生きるのが
辛くなってしまったことが
あったのですが、
近頃は逆に人間の良いところに
気がつくようになってきていて
自分でも驚いています。
 
周りの環境で本当に
人間というのはかわるものです。
  
鈴木さんや今回の修行体験で
私たちの他にもう一人参加された
男性のように、宗教について
自由に語りあうことができる、
仏教を本当に素晴らしいものだと
わかっている方達との交流は
とても有意義でした。
 
自分だけではない、
皆同じように苦しんでいるし、
 良いものを分かっている人がいる。
 
 そう分かっただけでも
救われた気分です。
 
いろいろ学ばせていただけた
今回の体験でした。
ありがとうございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
貴重な体験をさせていただき
ありがとうございました。
 
座談会では、参加された方と
宗教の枠にとらわれず、
色々な話をすることができ、
楽しい時間を過ごすことができました。
 
悩んだり、苦しんだりしている人達の
助けになろうと、このような会を
主催されている法拳さんの
温かい人柄にふれることができ、
とても癒やされる2日間となりました。
 
つかず、離れず、厳しすぎることなく
ご指導いただき、ありがとうございました。
 唱題修行がしたくなったら、
また参加したいと思います。

修行会の感想です

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長文になりますが、
仏道修行のあり方や、
宗教について示唆に富む
ご感想ですので、
ここに掲載させて頂きます。
・・・・・・・・・・・・・・・・
 
昨日、一昨日は本当にありがとうございました。
談話の最中にも申し上げましたが、
私の参加理由は非常に風変わりな物と
映ったのでは無いでしょうか。
 
【私達はどこから来たのか?】それを科学的にアプローチする…
つまり、歴史を考証する事によって、
私は自らのアイデンティティーを
築き上げようとしております。
 
主なフィールドは明治維新史ですが、
それを遡って戦国期、平安期、飛鳥時代
有史以前…生物の進化…太陽系の誕生…
宇宙開闢と連なり…これらに対する知的好奇心は
別々のジャンルの様でいて、
実は全て一本に連なっております。
 
まあ...分かり易く言うと、
NHKスペシャル的な思考でもって
この世の成り立ちを探求したくなる
性質の持ち主なのです。
 
宗教も、その1構成要素として存在しております。
昔は苦手なジャンルでした。
正直、若い頃は軽視していたと思います。
 
しかしながら、近年我が心に突如として
宿った発菩提心…これをどう咀嚼すれば良いのか...
自分では明確な回答が導き出せずにいました。
 
そこに助言を頂きたくなった…
これが今回修行会に参加させて頂いた
最大の理由かも知れません。
 
私はあらゆる事象に対し
懐疑的な眼を持つ事を
モットーにしております。
日常の人間関係は言うに及ばず、
学校の先生、職場の仲間、
政治家の発言、宗教者の言葉…
先ずは疑ってみること…
終戦時に大人達の欺瞞を見せ付けられた
私の父が残してくれたありがたい遺産と言えるでしょう。
 
【人はかくもいい加減で、嘘をつくのだ。それを忘れるな。】
 
平和な時代を謳歌する私に残してくれた、
ダークではありますが、
その物ズバリの格言でした。
 
その様なスタンスで歴史に接する私ですから、
【善悪】と言う問題についても、
非常にまどろっこしい捉え方をします。
 
【こちらから見れば、あっちは悪でこっちは正…
 だが、逆の立場ならどうなのだ?】
 
幕末史に対しては、常にそれを意識しながら
アプローチを試みます。勤皇VS左幕...
そんなステレオタイプの構図など見向きもしない。
様々な角度から事実を抽出し、
凝り固まったレッテルを一枚一枚剥ぎ取って行く…
すると、新しい物の見方が出来る様になって来る。
 
双方にとって都合の悪い事実が隠されていたり、
ねじ曲げられていたり…
それに気付く事で真実への道が開けて行くわけです。
 
ある意味、宗教に対しても同じ様な
プロセスでもって接しているのかも知れませんね。
 
盲目的服従への拒絶…と、
談話の最中に言った様な気がしますが、
それは私の歴史観なり宗教観が
根底にあるからなのだと思います。
 
本物を見定める眼…これをやはり大切にしたい。
本物を見抜く眼を磨かなければ、
それは自己の喪失に繋がり、
自己の喪失は精神的奴隷に
なり果てる事に繋がります。
 
考える事を止めてしまった時、
そこには人としての成長も無くなってしまうでしょう。
 
そう言う意味では…
鈴木さんの宗教家としての姿は、
紛れも無く【本物】であったと
私は感じております。
 
【道半ば】…それを意識して、
自己鍛錬を怠らぬ貴方の姿は
実に美しい。
悩み、苦しみ、されど歩んでおられる姿こそ、
菩薩への道を目指す僧侶としての
あるべき姿と見受けられました。
 
 
宗教と言う物は、
やはり【体験】が不可欠なのだと思うのです。
体験してみなければ、分からない。
踏み出す足の一歩、一歩…
唱える題目の一字一字が、
言葉で表現する事は出来なくとも、
教えてくれます。
 
『我々は、こうして歩んで来たのだ。』と。
 
多くの人々が救いを求め、
苦しみ、あがきながらも、
希望を求めてこうした宗教行為を
繰り返して来たのは何故か...
DNAに訴えかけて来るその声を…
感じ取る事こそ、大切なのだと私は思いました。
 
大聖人の祖廟塔の御前にて、
一時間の唱題修行を行った時…
私はまことに不躾ではありますが、
人間日蓮の苦悩、絶望、
そして希望と言ったものに
想いを馳せながら題目を
唱えさせて頂きました。
 
彼を襲った数々の法難…時代背景…
国家的危機...そして衆生救済…。
それをあの場所で感じ取ろうとした事に
意味があったのです。
 
あの場所でなければ、近付けなかった。
そう確信しております。
 
天台門徒である私が、
大聖人を理解するためには、
あの場所で、あの時間を過ごさねばならなかった。
 
日蓮宗の奥の深さ...
そのほんの一欠片を…
教えて頂けた気がします。
 
 
 
皆さんと別れてから、
私は再び境内に戻り、
祖師堂と本堂でお題目と寿量品を、
そして思親閣ではお題目に続き寿量品、
神力品、普門品を唱えさせて頂きました。
天台流の諷経で申し訳なかったという
思いもあるのですが、
唱えずにはおれませんでした。
 
(やはり法華経は良い…。)
 
心に染み渡る思いが致しました。
 
 
この二日間は、新たな希望を
見出せた素晴らしい二日間でした。
 
共に修行をした、長野県の母子…
あなた方の事を忘れません。
短い時間の中で交わした様々な言葉…共に流した汗…
 
仏教の持つ力を、私は信じます。
そしてその可能性に期待します。
 
本当にありがとうございました。
 
 

 

久遠道場1泊2日修行会

今回は、大阪府と長野県から

3名の方が初来山、共にご修行しました。

ネット検索で申し込まれた方々です。

2日間ともに秋晴れに恵まれ、

気持ちの良いご修行ができました。

 

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修行会では仏様への礼拝を丁寧に行い、

お題目を沢山唱えます。

能書きより、徹底した修行の実践を

重視して行います。

皆さん、お題目の檀家でも信者でも

ないのですが、大きな声で沢山唱える

唱題が新鮮だったようで、

それぞれに良いご修行だったようです。

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そして久遠道場では、皆さんと腹を割って

自由に座談できる時間を大切にしています。

毎回、参加者が口々にこぼします。

「ここみたいに自由に話したり、

 聞いてもらえるお寺さんがあまりに少ない」

一期一会のご縁で伺う

参加者の来し方のお話には

生きることの重みと深さを

毎回感じ入ります。

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宗教離れの昨今といいながらも、

人生の暗闇の中で、

仏教に関心を持ち、

救いの光明を求めて

真摯に道を求める方々が

世間には沢山おられます。

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その求めにお寺やお坊さんは

いかに応えるのか、

改めて責任の重さを感じます。

 

プールの縁で、クロールの泳ぎ方を

指導書片手にいくら力説しても

実際に水へ飛び込まなければ、

泳ぎは上達しません。

 

道場では、一緒に水に飛び込みます。

仏教の修行法、僧侶の生活リズム、

その叡智を直球で世間の皆さんに提供し

共に実践しています。

 

 

 

 

 

 

筋トレのススメ

誰だって気持ちが萎える時が

あります。

私も心が折れそうになる時、

メンタルがヤバイなぁ、と

感じる時があります。

秋はなんとなくモノ寂しい季節、

メンタルも落ちやすい時期ですね。

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そんな時は、筋トレ!

これ、気力が回復します。

過日も精神的に参ってる、と

知人からメールをもらったので

筋トレを奨めました。

 

ほんの数回でもいいんです、

肉体にちょっと負荷をかけると

備わっている生命力が

わき上がってきます。

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私は毎朝の読経前の日課として、

腹筋・背筋・スクワット・腕立て等を

続けています。

加えてヨガやオイルマッサージも

行いますから、朝はちょいと多忙です。

でも、これを続けているので

心身の活力が維持できています。

 

僧道生活の叡智がここにあるんですね。

ヒンズースクワットは、

ヒンズー教僧侶の

基礎体力作りが基といいますし、

ヨガ行者は長時間瞑想が出来る

身体作りの為に、

アイソメトリック等の

筋トレをしているんですね。

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比叡山千日回峰行者が

9日間、断食不眠の行に

耐えられるのも

堂入りまで何百日と山を歩いて

肉体を鍛えている基礎があるからこそ、

達成できるのでしょう。

 

仏法の教えや

メンタルトレーニングと

いったものは、肉体のトレーニングと

両輪で行じてこそ、身につきます。

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教えだけでなく、実践を。

世界の平和も、内なる平和の実践から。

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